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MRとは?現役薬剤師が仕事内容やMSとの違いも語る!

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今回はMR(メディカル・レプリゼンタティブ)の仕事内容の詳細や、MS(マーケティング・スペシャリスト)の違いについて、現役薬剤師である私が、詳細に説明していきます。

MRとMSの違いが分からず困っている方や、MRのメリットやデメリット、一日のスケジュールなどを知りたい方は、是非参考にして下さい!

以下、目次となります。

目次

 

MRとは?現役薬剤師が説明!

製薬会社のMR(メディカル・レプリゼンタティブ)と呼ばれる営業担当者の事を指します。

薬品のセールスと世間的に、思う方はいるかもしれませんが、医療関係者に対して適切な情報を伝える役目が大きな仕事になり、薬品や疾患に対する専門的な知識を自らが吸収して、迅速に伝える、責任感ある職業になります。

また、自社製品の欠点や現場に出た薬品に対して販売後の調査を行ったり、医療者向けの勉強会の企画など、環境を整える仕事も行っています。

朝が早くて、夜が遅いといったハードな面もあり拘束時間も長いですが、成果を上げれば高い年収を得る事が出来る人気がある業種です。薬剤師でなくても就職する事が可能で、高いコミュニケーション能力と優れた営業スキルを求められます。

海外へ進出している企業もあるので、国内だけでなく、海外へ異動する場合があり、非常にやりがいがある働き方と言えるでしょう! 

MRの仕事内容について!

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本項では、MRのより詳細な仕事内容について説明していきます。自社製剤に関しての営業以外にも、勉強会の開催など、様々な雑務もあるため、そちらについても解説していきます!

1.自社製剤に対しての情報提供

MRの仕事内容の一つとして、主にクリニックや病院の医師に対して、自社製品がいかに優れているのか、他の薬剤に比べると、どの様なメリットがあるか、臨床の現場での効果はどうか、相互作用や薬価などをプレゼンする仕事が挙げられます。

現場で働く薬剤師に対しては、薬局内での勉強会としてパワーポイントでプレゼンを行う場合もありますし、門前の医師と一緒にプレゼンを行う事もあります。

プレゼンは、社内パソコンを薬局、又はクリニックに持ち込み、プロジェクターを用いて、主に休憩時間に行います。病院では、休憩時間や業務後に勉強会が開かれる場合があり、MRは各施設の要望に合わせて勉強会を開きます。

また、現場の医療従事者が疑問に思ったり、解決出来ない事柄について、相談を受け、医療情報や臨床効果を伝える仕事も行います。

薬剤師からは、「指導せん」と呼ばれる患者説明用の資料の在庫が無くなると、MRに連絡して資料を請求したりします。さらに、病院の看護師からも患者さん用パンフレットを請求されたりと、多くの対応に追われる事があります。

その他にも医師や薬剤師からエビデンスと呼ばれる科学的根拠の裏付けとなる資料を請求されたりと、会社に持ち帰る宿題事も多く頼まれます。

会社用の携帯電話を常に持っているので、急ぎの資料請求や、お願い事の連絡が入る事も多く、限られた時間の中で、優先順位を付けて仕事をこなしていかなければいけません。

急ぎの質問で、直ぐに回答が欲しい場合もあり、スピードを求められる事も多いです。しかし、最も犯してはならない事は、誤った医療情報を伝える事であり、万が一誤った情報を伝えてしまうとエンドユーザーの患者さんに迷惑をかけるだけでなく、医療機関からの信頼も一気に無くなります。

正確で迅速な対応は基本で、相談を受けた時に直ぐに答えられる知識も必要になる仕事です。  

2.自社製剤に対しての情報収集

医療情報を届けるだけの仕事ではなく、現場で使われている自社製剤の安全性や、適正に使用しているかの情報を各医療機関から集めます。

安全性に関しては、薬が世の中に出る前に治験や安全性試験などの厳格な基準をクリアしていますが、実際に現場で使用されて初めて分かってくる内容も出てくるので、販売後も自社製剤から患者さんの体調に、何か変化が起こったのか、使用してみて問題はなかったかを訪問先で情報収集を行います。

調剤薬局で働いていても、MRが訪問する事があり、外用剤などの医薬品の使用感や不具合がないのかなどを聞いたり、患者さんに副作用が出ていないかを聴取します。

病院でも必要に応じて治療薬の効果判定や、どんな患者さんに使用しているのかを確認したりと、適正使用の為に、医師からヒアリングを行います。

私が病院薬剤師時代にも、注射薬同士の配合変化でどこにも資料が見当たらない時に、担当MRに電話をした事があります。回答はもちろん頂きましたが、その注射薬同士を混合した患者さんの担当医や、処方意図まで細かく聞かれた覚えがあります。

情報をフィードバックして改善したり、データを蓄積させるためにも、ヒアリングはMRの大切な仕事の一つですね!  

3.勉強会の企画、実施

勉強会は、クリニックや薬局内で行われたり、病院の会議室や講演施設を借りて行うなど、様々な形式があります。

MRは自社製剤の特徴や強みを活かした内容の勉強会を企画したり、自分で製品説明を行います。良く行われるのは、新薬に対する勉強会であり、私が病院時代も月に1回は必ずありました。

主に薬局のトップとMRが勉強会の日付をセッティングして進めます。病院では、薬剤部のトップと院長らが話し合い新薬を採用するかどうかを検討するので、薬局内や医師に対して行う勉強会は、数字を残せる大切な場面になってきます。

薬剤師から質問の嵐を受ける事もありますし、その場では解決出来そうにない質問も受けたりします。

小規模な病院であれば、医師やコメディカルも一緒に勉強会を聞きますので、相手に合わせた説明をしなければいけません。看護師向けには、より患者目線で話さなければいけませんし、医師や薬剤師には根拠となる内容を示しながら、医療用語を上手く駆使する必要があります。

また、勉強会用のスライドには、製薬会社の学術担当が作成した内容を使用する事が多く、MR自身が1から作った訳ではないので、事前に質問対策も考えて臨まなければいけません。

大規模になると、医師を講演者として招いた勉強会になり、講演場所の予約から会場のセッティング、片付けなど行う事が目白押しになり、冒頭では、協賛会社としてあいさつに製品紹介を行ったりとバタバタしています。

本来休みである土日に出勤する場合もあります。スムーズな進行になる様に、細かい配慮が必要なMRの仕事の1つです。  

4.勉強会における弁当の予約

製剤紹介における勉強会では、基本的に参加者1人に付き、1つ軽食や弁当が与えられます。担当MRによって勉強会のセッティングも大切な仕事になりますが、勉強会における食事のセンスも大切になると思います。

弁当代は会社の経費で落とせますが、最近では細かく人数把握を行い、余る事がない様に入念な打ち合わせを医療機関と行います。

月ごとに、同じ施設で行う事が出来る勉強会の回数制限もあるので、常に弁当の手配をしている訳ではありませんが、院長の好き嫌いを把握したり、年齢層を考慮したり、弁当と相性の良い飲み物を組み合わせたりなど、一通り考えて予約をします。

デキるMRは、各地域の有名弁当や、美味しい組み合わせを熟知しているので、一目置かれる存在になると思います。

現に、食べた事がない弁当や色鮮やかな食事が出ると、スタッフ一同嬉しく感じます。

大切ではない仕事だと思われやすいですが、医療現場が笑顔になる仕事の1つです。  

5.医薬品卸における営業所への訪問

各エリアの医薬品卸営業所に出向いて、MSと打ち合わせを行います。医薬品卸企業も複数あるので、1つだけ訪問する訳でなく、数か所訪問を行います。

製薬会社と医薬品卸では、どちらもさばかないといけない医薬品のノルマが決まっています。MRも目標の数を達成させるために、現場の価格交渉を行うMSに対抗して、自社製剤をアピールしなければいけません。

薬局では月末や年度末になると、MSから先に購入を行い、後から返品を行います。全ては目標の売り上げを達成させる為の行為であり、MRからMSに自社製剤の売り込みをお願いする事は、避けては通れない道になるでしょう。

自社製剤が、取引先にどれだけ納入されているのかを打ち合わせたりもしますが、医薬品の包装変更や供給制限などの生きた情報を的確にMSに伝える仕事も重要です。

調剤薬局に勤務すると分かりますが、現場では実際にMRよりもMSの方が薬剤師に接触します。MSを介してという訳ではありませんが、MSとの連携は非常に良好にしておきたい内容の一つです。

その他にも、担当医の性格の把握や雰囲気など情報交換を行う事が出来る場所になるので、重要な仕事内容と言えるでしょう。 

MRの一日のスケジュールはどんな感じ?

では、実際にMRの一日のスケジュールはどのようになっているのでしょうか。以下、クリニックや小規模の病院を担当しているMRの平日のスケジュールを表にしてみました!

時間 仕事内容
8:00~10:00 複数の医薬品卸営業所を訪問し、MSと打ち合わせや情報交換
10:00~12:00 外回り営業(病院、クリニック、薬局)にて情報提供、収集
12:00~13:00 昼休憩(社用車で営業先へ移動しながらお昼ご飯を済ませる)
13:00~19:00 外回り営業、各医療機関からの電話対応と返信
19:00~21:00 報告書作成、勉強会の準備、勉強会の資料収集

上記に加えて、土日に講演会が入ったり、隙間時間にプレゼンの準備や、勉強会用のお弁当の予約などを行います。忙しい時期には、21時以降も会社に残って仕事を行います。 

残業がかなり多いと言えますね!

MR認定試験とは?

MRになる為に避けては通れない試験になります。毎年12月中旬に東京と大阪で認定試験が行われます。

製薬企業に勤める新人であれば受験資格として会社内の研修で、基礎教育である医薬品情報、疾患と治療、医薬概論の講習を受ける事が可能です。ちなみに医師、歯科医師免許、薬剤師免許を所有している方は、医薬品情報と疾患と治療の範囲が免除されるので、薬剤師でMRを目指す方は、初めの内は勉強の負担が少なく試験に臨む事が出来ます。

しかし実際には試験前に、再び薬剤師国家試験の時の様に勉強をしなければいけないので、甘く見ていると落ちる事もあり得るので、注意が必要です。

その後、1月末に合否の結果が分かります。またMSでも会社のキャリアアップの為に、MRの資格を目指している卸企業もあり、eラーニングを行って働きながらMR認定試験を受講する場合もあります。

試験はマークシート形式で、合格率は毎年変わりますが、全体として約80%程度の合格率になります。受験に落ちたとしても製薬会社内でMRとして働く事は可能ですが、自社の顔に泥を塗ってしまうため、周りの先輩や上司から信用を失くしたり、大きな病院に対しての訪問や担当を外されたり、インセンティブやボーナスにも反映する可能性が出てきます。

MRの認定試験とは別になりますが、製薬会社によっては認定試験とは別の社内試験もあり、オンコロジー領域のがん治療にも十分対応する事が出来るMR試験など差別化を図る企業もあります。 

MRとMSの違いは?

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混同されやすいMR(メディカル・レプリゼンタティブ)MS(マーケティング・スペシャリスト)ですが、実際にはどのような違いがあるのでしょうか。

以下に分かりやすく、MRとMSの違いを解説していきます!

1.MRは医薬品の価格交渉をしない

医療機関との癒着を防ぐためでもありますが、MRは、医薬品をクリニックや薬局などに直接価格を設定して交渉する事は出来ません。交渉が出来るのは、医薬品卸企業で働くMSと呼ばれる担当になります。

製薬会社に勤めて自社製剤のメリットや、どれだけ患者さんに寄与出来るかを訴える事は出来ますが、いざ取引になり、どれだけ割引を行い、購入するかは、製薬企業と医療機関の仲介係として間に入っている、医薬品卸のMSを通して交渉を行わなければいけません。

仮に個人のMRに値段を交渉したところで、会社の上層部が判断している事になり、製薬企業と医薬品卸企業の管理職クラスの話になってくるため、交渉自体が無意味になります。

実際に働いてみて、薬局に訪問するMRの口から薬価の事を話す事がありますが、取引の事に関しては全く話した事はありません。

価格の話を行うのは、MSがメインになっています。 

2.自社製品のみを扱う

MRは自分の会社の製品のみを扱う事が可能で、MSは様々な製薬企業の商品や、医療機器、健康食品を卸す事が可能です。

医薬品の中には、同じ成分の薬で、製造先が異なったり、販売元が異なったりする場合があります。薬剤師の仕事の中で発注業務がありますが、薬の名前だけを発注先に伝えてしまうと、メーカーの指定はあるのかと製薬企業名を選択する様に医薬品卸から注意を受けます。

MRは、自社製品のみを扱う事が出来るメリットとして、より専門的な知識を得る事が出来ます。例えばMRは自社製剤の制限がかかる情報をいち早く知る事が出来ますし、自社の製剤を軸に相互作用や、変わった適応外使用の実例や、添付文書には載っていない副作用の情報など、MSが持っていない知識や経験を持っています。

逆に領域が異なる、医療機器や、生活用品などを聞かれると、MRは弱ってしまいますので、そちらは幅広く商品を紹介する事が出来るMSが強いと言えるでしょう。

MRは自社製剤に関してはプロであり、MSに比べてより専門的な情報を持っていると思って下さい。 

3.市販後の調査を行う

調剤薬局で働いていると、薬剤師はMRよりもMSの方が良く顔を合わせる機会が多いと思います。

MRもMSも医療機関には訪問してくれますが、薬局からみると、MRは自社製剤の不具合や、使用していて患者さんに何か困った事はないのかと聞く事が多くのに対して、MSはざっくりと業務で何かお困りの事はないか、在庫や薬の全体の消費量はどれくらいかと聞いてくる事が多いです。

扱っている商品の数が異なりますし、MRは特定の薬のプロであるため、現場から会社にフィードバックする役割をしっかりと行っている印象です。

医薬品の詳細な情報を知りたい場合にはMRに連絡してレスポンスを待ちますが、業務上困った場合の対応は、MSに相談するケースが多いです。  

4.MRは担当範囲が広い

MRが担当するエリアは、MSに比べると広範囲に渡る事が多いです。大病院を担当しているMRは、限られたエリアで営業を行いますが、クリニックや小規模の病院を営業しに行くMRは、1つのエリアだけでなく2つか3つのエリアを掛け持ちしている場合があります。

医療機関の数が多い点も挙げられますが、MSに比べて足を使って移動している場合が多いです。私の知り合いのMRはエリアを3つ担当していて、3つの市を掛け持ちして仕事をしています。

逆に、MSは基本的に1つのエリアに1つの営業所があり、その場所のみを起点として営業を行います。担当範囲が狭いので担当数が少ないと思うかもしれませんが、チームや個人のMSが持っている取引先の数で決まっているので、10店舗以上担当を持っているMSもいます。

また、海外事業にも力を入れている製薬会社は、海外への異動も考慮しなければいけません。地元に根差した医薬品卸は海外出張は基本的にありませんので、両者の違いとして行動範囲の広さが挙げられます。 

MRのメリットとは?

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さて、MRの大体の業務内容については、上記で理解いただけたでしょうか。本項では、実際にMRとして働くメリットについて、詳しく記載していきます。

1.平均年収が高い

製薬会社に勤めると5年目までは、給料が一般的であり、他の調剤薬局薬剤師ドラッグストアの薬剤師、文系でも大手銀行と比べても大きな差はないです。しかし、5年目以降は役職や実力の開きによって50~100万円単位で給料が異なるケースも存在します。

バリバリの営業で、自社製剤の数字がトップレベルになると特別な報酬や表彰もされる場合もありますし、基本給が大きく上がり、ボーナスも通常企業に比べて6か月満額やそれ以上を得る事が可能です。

エリアを統括したり、エリアで成果を出せば、結果に伴って給料が増えるので、お金を第1目的としている方にはメリットになるでしょう。

また、大手であるほど営業手当がしっかりしているので、毎日の様に手当が発生して手取りが多くなる点も大きいです。30代で年収800~900万円、40代で1000万円クラスの年収に到達する事も可能です。

他の職種に比べても、高い年収になる事は間違いありません。 

2.薬局開業の可能性が高まる

MRが薬剤師免許を持っている場合に、熱いメリットになります。また、薬剤師免許を持っていなくても、薬局のオーナーとして経営者になる事が出来るため、大きな利点と言えるでしょう!

MRは開業医と仕事柄コミュニケーションを取る事が必須であり、多くの医師と知り合いになったり、戦友になるチャンスが眠っています。

特に、比較的に若い医師が多い大病院担当のMRはチャンスが多いです。医師の中には親のクリニックを継ぐために、勉強も兼ねて、急性期の臨床を学んだり、開業するための修行期間として仕事をしている医師がいます。

そのような医師のキャリアプランの中には、開業した時に一緒になって仕事をしてくれる戦友を探している場合があり、私が勤めていた病院でも、看護師や薬剤師だけでなく、経営コンサルティングとしてアドバイザーを求めていた医師もいました。

開業に関しては、医師だけでなく事務員や薬局、薬剤師などの人材や立地を確保しなければいけません。

そのため、めんどくさがりな医師は、何でもこなしてくれるMRに話を振ってくる場合があります。特に医師からの信頼が強いMRには、開業の話が振られて、そのまま薬局のオーナーになった方が一昔前に多くいました。

仕事のパートナーである医師は昔から知っている仲になるので、0から関係を築くよりは、安心して開業出来る、非常に夢のあるメリットだと言えます!

医師から開業へのキャリアプランについて相談を受けた場合は、チャンスだと思って、薬局開業を考えてみましょう! 

3.福利厚生が手厚い

MRは転勤族故に、在宅手当に関しては、大手であれば賃貸の約8割を会社が負担してくれます。他の職種の例として、全国勤務コースの調剤薬局薬剤師は、6~8割の負担になりますが、エリアを絞った働き方になると4割程度の手当てになります。

上記からも、薬剤師が勤める職業の中でも、トップレベルで手厚い福利厚生が望める働き方と言えるでしょう。

また、日当として1日2000~3000円の手当てが付くのも大きいです。

平均年収を上げている要因にもなりますが、手当で月に5万円分、年にして約60万円分を得ていると考えると、大きいメリットになると言えます。

その他にも、社用車をプライベートでも使用して良かったり、ガソリン代が月に1万円分支給される事もあり、製薬会社の手厚さが伺えます。

さらに、製薬会社は、自社開発の栄養ドリンク現物支給があったり、ホテルを格安で宿泊出来たり、出産手当なども充実しています。会社によっては、医療保障が手厚いところもあり、医療費が数千円の上限を超えた場合、その分だけ会社が負担してくれるメーカーもあります。

自己啓発に関する自己投資にも補助が付きますし、医療業界だけでなく、他の業界と比べても福利厚生が非常に強いと言えます。 

MRのデメリットとは?

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高い年収や、福利厚生が魅力的なMRですが、その裏には当然幾つものデメリットが存在します。以下に、それらについて記載していきます。

1.患者さんからの感謝が形に現れにくい

MRは、患者さんと直接話さない職業であるため、お礼や感謝の言葉を直に受け取ることが出来ません。

医療機関に対して営業はしますが、臨床を通して効果を実感して、目に見えて患者さんが良くなったり、その家族が笑顔になったりしている姿を見る事が出来ないので、仕事のやりがいがどうしても数字を上げる事に向かってしまいます。

そのため、薬剤師の免許を持っているMRが、「何の為に働いているのか?」と感じてしまう場合があり、MRから病院薬剤師調剤薬局薬剤師に転職する事は決して珍しくありません。

実際、私がMRと話した時に、「現場で働いている薬剤師の先生は、目の前の患者様を思って働いていて、時々憧れる事がある。」と、言われたことがあります。

特に、急性期病院の担当になると、ケアではなくキュア(治療)として患者さんが治っていく様子を実感する事が出来るので、それに間接的にしか携われないことは、医療者として大きなデメリットと言えます。

病院の医師や看護師、薬剤師からは感謝される事はありますが、病院内でスーツを着たMRに、「あなたの会社の薬で、病気が治りました!」と、患者さんから感謝を頂く事は基本的にありません。

2.ストレスが溜まりやすい

医薬品の営業は、ストレスが溜まりやすい場面が多々あります。

これは得意先が、医師や薬剤師などの医療関係者であり、プライドを持って仕事をしている職業である事が関係しています。

ミスは許されない現場の情報を扱う訳ですがら、曖昧な事は言ってはいけません。オンコロジー領域のMRにもなると、少しの判断や行動で医師から信用を失ってしまう場合もあります。

また、医療従事者から厳しい質問を投げかけられたり、自分で調べられる内容をMRに丸投げする方もいます。

営業故に、忘年会の準備や企画、盛り上げ役として業務外も得意先に尽くさなければいけません。非常に責任感のある仕事内容だけでなく、医療従事者のわがままにも付き合う事があるので、人によってはストレスを蓄積させる原因に繋がります。 

理不尽な出来事にも笑顔で対応して、自社の数字を取りに行かなければいけません。精神的なストレスも溜まりやすく、体調面にも注意が必要になるデメリットと言えます。 

現場の医療者でさえ頭を悩ます領域に、常に高い緊張感で挑み、同時に雑務もこなさなければいけません。

3.異動を余儀なくされる

基本的に全国異動が起こりうる職業がMRになります。私が新人から病院薬剤師を辞めるまでの約5年間で、およそ9割のMRがどこかへ異動になりました。

長いと5年以上、短くても3年以上同じ病院には滞在しません。異動の場所は、都市に行く事もありますし、地方に異動になる事もあり、原則希望は通りません。

同一県内で異動出来る制度を導入している企業もあり、一概には言えませんが、その場合でも、マネージャー職になると全国勤務を余儀なくされるため、原則異動ありきで働いた方が良いです。

自身の地元を愛している方にとっては苦痛であり、子供がいる場合には、引っ越しや単身赴任などを考えなければいけないので、人によっては非常に大きな負担に感じてしまうでしょう。 

MRになりたい方が注意すべき点!

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本項では、MRになりたいと考えている薬剤師や薬学生に向けて、その注意点を記載していきます。

1.給料を取るか時間を取るか

極端な話になりますが、MRは「プライベートの時間を作りにくい」と思って下さい。

MRは多忙であり、土日にも講演会の準備が必要であったりと、休日も自分の好きな様に休めない環境になります。

そのため、バリバリと成果を上げて、のし上がっていくタイプの方は、合っている職業だと思いますが、プライベートを充実させたい、高収入に憧れを抱かないという方には向いていないと言えるでしょう。

実際にバランス良く働く事が出来るのは少数で、出世コースを少し外れるか、転職に踏み切るかなど、プライベートに時間を当てる為に何かを切り捨てる選択を迫られる可能性があります。 

特に結婚をして子供が出来ると、お金の事もより一層大切になりますが、家族と過ごす時間も大切になっていきます。MRを目指す方は、この点に注意して、是非深く考えてみて下さい!

時間もあって、お金もある働き方をMRでするには、非常に難易度が高いです。

2.コミュニケーション能力は優れているか

優れたコミュニケーション能力は、営業の極意であり、MRとしては必須のスキルになります。特にMR向けのコミュニケーション能力として、相手の気持ちを汲んで先に行動する能力、相手を楽しませる能力などが必要になります。

特に相手の事を考えて、営業先が欲しているものを、先回りして提供出来るMRは強いです。

営業はギブアンドギブの精神からなるものとして考えて、このMRであれば任せたいと思ってくれたら成果アップにグッと近づく事でしょう。

元々MRは、アクティブな性格であったり、周りから好印象を持たれる方が多く、コミュニケーションが苦手と感じる方は、就活の時点である程度のふるい分けをされます。

私の周りでMRになった方は、目立ちたがりで人気者あったり、サークルの部長をしていたり、アルバイトのリーダーをしたりと、今思えば何かしら対人関係を上手くこなしてきた人達でした。

薬のプレゼン能力も大切になりますが、人と人との関係を上手く構築出来る人が向いていると思いますので、MRを目指している方は普段から人付き合いのコツを勉強しておくと良いかもしれません。 

3.異動を受け入れられるか

MRは、原則全国の異動を命じられる働き方になるので、地元を愛して止まない方は注意して下さい。

数年間特定エリアで働いたけれど、思う様に結果が出ていない場合や、売上がトップレベルでもキャリアアップの為に本社勤務や、数字を落としているエリアに抜擢される事があります。

自分自身は、全国勤務が苦でなかったとしても、恋人を残して駆け回ったり、家族を連れて引っ越しを行ったりと自分の周りに影響を与えてしまう可能性があります。

毎年3月中旬~末になると、人事異動のお知らせを、担当MRが薬局まで挨拶をしに来る事があります。事前に異動を命じられますが、1ヵ月前や酷いと数週間前に命じられる事もあるので、急ぎの引っ越し準備を行う事がある様です。

全国や海外にも異動の可能性があるので、就職する前にもう一度自分自身を見つめ直してみましょう。  

4.就職活動に勝ち残れるか

MRは調剤薬局やドラッグストアに比べると、就職活動時の面接が多く、倍率も高い職業になります。

調剤薬局やドラッグストアでは1回程度面接をすれば、あっさりと内定をもらう事が可能です。これは全国的な薬剤師の不足によるものや、内定が出ても薬剤師国家試験が落ちてしまう事があるので、企業側は目いっぱい薬剤師を確保しておきたい心理があるからです。

しかし、MRは、学部に問わられずに文系からも応募があるので、必然的に倍率は高くなります。最終的に5次面接にも及ぶ難関を突破して、優秀な人材が絞られると考えると、狭き門になる事は間違いありません。

企業によって、薬剤師免許を持っている方を多く採用している企業もあるので、薬学生はチャンスが多いと思います。しかし私の友人では、薬学生でも10社程度の製薬企業を受けて全て落ちた人もいますので、MRになりたくてもなれない方も実際にいました。

就職活動のサバイバルを生き残る必要があるので、対策しておくことをおすすめします。  

まとめ

いかがでしたでしょうか?

製薬会社のMRの働き方を、MSとの具体的な違いも含め、実際の現場目線も交えて詳細に書いていきました。医師や薬剤師に深く関わる、MRのシビアな世界を少しでも知って頂ければ幸いです。

この記事を書いてみて、MRはやりがいが大きい職業である事と、医療現場の縁の下の力持ち的な存在である事を再確認しました。

また、不満や我慢を重ねている分、結果が出た時の達成感や報酬も大きな喜びとなっていると思いました。

本記事が、薬局で働く薬剤師の方や薬学生や、それ以外の方にも少しでもためになれば、嬉しいです!

それでは、また。 

 

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