今回は、調剤薬局に転職を考えている薬剤師に向けて、後悔する場合はどのような時か、また、転職を失敗しないためにはどうしたら良いのかについて、詳細に説明していきます。
調剤薬局薬剤師に転職を考えている方は、ぜひ参考にして下さい!
以下、目次となります。
調剤薬局へ転職する薬剤師が後悔する5つのパターン!
薬剤師が調剤薬局に転職する際に後悔するのはどんな時でしょうか。本項では、転職のパターン別に後悔しやすい内容をまとめてみました。
失敗しない為には、まずは何に対して先人が後悔しているかを知る事は非常に重要です!
自分に当てはまるパターンについて、ぜひ目を通してみて下さい!
①:大手調剤薬局から小規模調剤薬局へ転職する場合
新卒で、大手調剤薬局に就職して、薬剤師の経験を積んだ後に、規模が小さめの薬局に転職する方は少なくありません。
大手は組織力が強く、研修がしっかりと行われる反面、休憩もないくらいに忙しく、入社してから、自分が理想としていた働き方とは、異なると感じる方は多くいます。
薬剤師の業界では、大手調剤薬局の年収が、決して高いとは言えず、昇給率も良くない場合が多いです。また店舗数が多い事から、急な異動も余儀なくされて、会社の歯車の1つとして働かなければいけません。
3年を目安に管理薬剤師になり、仕事量と責任も次々に増えていきます。それを境に、今後の薬剤師としてのキャリアについて考え、転職を視野に入れる方もいます。
私の周りにも、転職で成功した方はいますが、小規模の薬局に転職した事で、失敗してしまった方もいます。
先ずは、大手調剤薬局の経歴に自惚れている薬剤師にありがちな内容で、最新の調剤システム、マニュアルで環境が整備されている事に慣れすぎている為、職場が変わっても、上手く対応する事が出来ないケースになります。
前職では、自動で分包してくれる機械があり、電子薬歴で、直ぐに仕事を終える事が出来ましたが、小規模薬局では、それらが導入されていない場合も多く、臨機応変に仕事が出来ないと、周りから、使えない薬剤師と判断されてしまいます。
仕事が出来ない人材は、精神的に追い込まれる事もあり、特に、小規模薬局では人が少ない為、人間関係を悪化させると、中々取り返しがつきません。
大手調剤薬局で働く薬剤師は、今居る環境の設備が、全ての薬局で利用出来ない事を理解して、転職に望むべきです!
②:病院薬剤師から大手調剤薬局へ転職する場合
私の様に、病院薬剤師から調剤薬局薬剤師に転職をする薬剤師は多いです。
給料を上げたかったり、大手思考の安心感を求めている方もいますが、病院で得られた臨床知識を、調剤薬局で還元したり、病院の経験を活かした働き方をしたいと思っている薬剤師もいます。
病院と薬局の連携を進める薬薬連携ですが、密になって実践している職場は限られています。
私は薬剤師の転職サイトのコンサルタントの方に、病院で働いた事がある薬剤師は、大手調剤薬局で、実臨床を教える講師のポジションもあると言われ、処方解析を行う部署も提案されました。
そのため、間接的かもしれませんが、病院を経験した薬剤師が調剤薬局の中で、特別な働き方が出来ると思っていました。
しかし、実際に蓋を開けてみると、転職後、直ぐに大きな役割を振られる事はありません。
病院薬剤師の方は、調剤薬局未経験者として新人同様な扱いからスタートする場合がほとんどです。大手ほどその傾向があり、実績にもよりますが、1年間先ずは、薬局内の現場で働く事になります。
逆に、小回りの効く小規模薬局や、地元の病院と昔から親交のある調剤薬局では、薬薬連携へのポジションが空いている場合があり、大手と違い地域に密着して仕事を行える可能性があります。
病院からの転職者はそれらを考慮した上で、大手か小規模の薬局を選択してみましょう!
③:個人薬局から大手、中規模薬局に転職する場合
両親が薬局を経営していて、その子供が、修行として大手調剤薬局に就職する様に、経験を求めて、中規模以上の薬局に転職する場合があります。
年齢が35歳以下であれば、熱意と仕事に対する吸収力などを加味して、新しい仕事にチャレンジ出来ますが、個人薬局に5年以上勤めた方で、年齢が35歳以上であると、環境に合わせることが難しくなってしまい、転職しても失敗してしまう例が多いです。
本人が個人薬局で、定年するまで管理薬剤師で暮らすと考えていても、処方医の突然の急死や、跡継ぎが居ない状況である事、薬局が大手に合併されてしまったなど、急に環境が変化してしまう可能性は、ゼロではありません。
今の環境が楽だからと、変化に対応出来ない人格になってしまうと、周りから教育として仕事を教えてもらっても、理不尽に拒否してしまったり、組織に馴染めないで、孤立してしまう事があります。
小さな組織の中では、トップだったかもしれませんが、大きな組織の中では、自分が思っていたよりも、薬剤師としての影響力は大きくありません。
私の周りでは、年齢が高く、プライドが高い薬剤師ほど、転職を繰り返して失敗をしてしまう傾向にあると思います。個人薬局に勤務する薬剤師は、自身が天狗になっていないかを常に意識して、転職を考えると良いでしょう。
特に、ずっと個人薬局で働いていて、臨床知識が偏っている方が転職する際は要注意です。
④:ドラッグストア経験者が小規模薬局へ転職する場合
ドラッグストアの薬剤師は、店舗責任者になる年齢が若くて、売上げと顧客満足度を自然と、意識出来る様に研修を受けています。
店長になって、様々なマネジメントを行いますが、初心になって転職に挑まないと、現場のスタッフから反感を買い、居心地が悪くなってしまうケースがあります。
自分よりも年下で、マネジメント能力が欠如していても、薬局内では、管理薬剤師と調剤薬局未経験者の下っ端薬剤師の関係になるので、ストレスには十分に気を付けましょう。
また、調剤併設型のドラッグストアが増えている状況から、転職者が調剤出来る前提で、話が進み、十分な研修が行われないまま、実践形式で仕事を任されることもあります。
ドラッグストア経験者の中には、処方箋の見方や、疑義照会もした事がない薬剤師が一定数います。小規模な薬局に転職すると、即戦力として期待されますので、調剤経験がない方は、素直にそれを伝えた方が後悔せずに済みます。
また、残業がない調剤薬局に転職したいと思っているドラッグストアの薬剤師は多いですが、小規模な調剤薬局でも、実際に働いてみないと、残業の有無が見えないため、その点にも十分に気を付けましょう。
⑤:経営者の考え方が酷い個人薬局へ転職する場合
個人薬局で、薬剤師と経営者の距離が近すぎる転職先も注意が必要です。
薬局の経営者と直接面接をして、内定を貰いますが、経営者が面接時には本性を出していない場合があります。
個人薬局で、欠員が出ているところはありますが、常に募集をしていたり、薬剤師が、直ぐに辞めている様な個人薬局には何かあると、考えた方が無難です。
実際に経営者の雰囲気が良かったから、転職を決めたけれど、明らかに薬剤師の人数が足りない状況で、1人薬剤師で、1日80枚以上の処方箋をこなしている方もいました。
薬剤師の方なら分かると思いますが、薬剤師1人に付き、処方箋枚数が1日上限40枚と目安があります。どこの調剤薬局でも、そうかと思いますが、経営者は、薬剤師の人件費を限りなく少なくして、いかに処方箋をさばいてくれるのかを気にしています。
経営者が、医療人であっても、自分の会社を守る為、売上に関するところは、シビアに考えなければいけません。
個人薬局に転職をすると、やりがいが医療に対しての気持ちではなくて、経営の方面ばかりを考えてしまう事になりかねないので、経営者とは、近くなり過ぎない距離感で、仕事を行える薬局が良いでしょう!
個人薬局では、経営者の考え方と、薬剤師との距離感は本当に重要です!
調剤薬局へ転職する薬剤師が失敗しないための7つのコツ!
では、実際に調剤薬局へ転職する際に、失敗しない為には、どうしたら良いのでしょうか。以下で、詳しく説明していきます!
①:実際に現場を体験する
複数店舗を展開している薬局の場合は、可能な限り、場所を分散させて、1日働いてみましょう。
働くと言っても、1日体験と企業側に伝えても全く問題ありません。
どんな求人情報や、人事の方の意見よりも、百聞は一見にしかずであり、転職の失敗を限りなく下げる事が出来ます。
忙しい店舗である事や、人間関係、スタッフの年齢層と雰囲気などは、実際に現場を体験しないと見えてこない部分があります。
各薬剤師には、自分自身のものさしがあり、周りが、忙しくないと豪語しても、自分にとっては、忙しく感じる場合や優先するべき内容があるはずです。
特に店舗数の多い調剤薬局では、実際に自分で現場を体験する事が、転職に失敗しないコツになります。
②:いきなり正社員として契約しない
いきなり正社員として、契約しない事も、転職を失敗しないために大切になります。
最初は薬剤師のバイトやパートとして働き、自分の行動範囲から通える店舗を出来るだけ多く探して、異なる薬局で仕事を経験して、判断してみましょう。
また、次の転職先を考えるに当たって、失業保険をしっかりと活用し、多くの企業を見学する事が失敗のリスクを下げるポイントになります。
多くの薬剤師は、2つか3つの企業を比べて転職を決めてしまいますが、大手企業、中規模薬局、小規模薬局、個人薬局、漢方専門の薬局などざっくりと分けても、全国には自分の知らない薬局が存在しています。
色々な職場を比較するのは面倒だと感じる薬剤師もいるかも知れませんが、その手間を惜しまず、情報を集めることが、失敗しない為の第一歩になります。
③:経営者の熱い言葉こそ疑う
会社を仕切っている経営者の言葉を、鵜呑みにしないで行動する事が、失敗しないポイントの1つになります。
調剤薬局では、個人薬局や小規模の薬局など、比較的経営者と距離が近く、実際に働く薬剤師に対して、囲い込みを行うケースもあります。
1つ目は給料になります。個人薬局では、一般的に給料が良い事で知られていて、20代の薬剤師でも、40万円の月給を払える予算を持っている事があります。
20代薬剤師で経験が乏しい人材を高給で雇える仕組みは、絶対に辞めて欲しくない環境(忙しい店舗、誰も行きたがらない僻地)である場合がほとんどです。
経営者は、他の劣悪な部分を見せずに、給料だけで釣ってくる場合があり、「売上を上げてくれたら、ボーナスを上乗せする」と甘い罠を仕掛ける事もあります。
2つ目として、薬剤師のやりがいを熱く話す場合があります。「数年後には2、3店舗を目指していて、エリアマネージャーを将来的には任せたい」と根拠のない誘いを行う事があります。
私も経験がありますが、直接経営者と話をすると、熱い言葉が胸に刺さり、一時的なモチベーションが上がる経験をしました。
この人と一緒に仕事をしたいと、強く心を揺さぶられますが、経営者の熱い言葉こそ冷静に、なぜその薬局に、人手が足りていないのかを客観的に考えてみるといいかもしれません。
経営者と話す機会があった場合は、オープンな質問ではなくて、クローズな質問をして、明確な情報を仕入れると、失敗も避けられるはずです。
④:信頼出来る友人から情報を仕入れる
小規模薬局か個人薬局で働いている友人から、情報を教えてもらう方法になります。
大手調剤薬局に勤めている友人から企業情報を聞いたとしても、店舗や限られたエリアの情報しか把握出来ないので、全ての企業情報を知る事が出来ません。
2、3店舗展開している企業だと、各店舗における薬剤師の性格や、医療事務の性格、経営者の人柄やビジョン、門前処方医の癖、MSの人柄など詳細に把握しています。
また、信頼出来る友人が、どんな経歴を持っているかも大切になります。
最も説得力があるのは、派遣薬剤師として企業を転々として働いている薬剤師になります。
派遣薬剤師で、生計を立てている方は、年間で2回から3回は働く場所を変えています。
大手から小規模薬局まで経験した事がある方で、本当にブラックな薬局、ブラックだけど、人数がいれば環境が良くなる職場、自分がまた働きたいと思う特徴的な薬局などの情報を聞けば、あなたにあった薬局も自ずと見つかるはずです。
中には副業をオープンにしている調剤薬局もあったりと、小規模ならではのメリットがある薬局もあります。
企業の見学を1つ1つする事が、億劫に感じる方は、周りの信頼できる友人に話を聞いてみるのも1つのコツになります。
⑤:謙虚な姿勢でゼロから学ぶ
転職を行うに当たって、基本となる姿勢と考え方になります。
調剤薬局の場合は、各店舗によっても、管理薬剤師が決めた独特のルールが存在する事があり、例え、仕事の内容を知っていたとしても、初めて聞いた話の様に、謙虚な姿勢で、学ぶと転職先で失敗が少なくなります。
特に年下の薬剤師に、知っている基礎的な内容を指示されると、反抗してしまう気持ちが、出てくるはずです。そんな時こそ、自分は周りから親切に教えてもらっていると自覚して、新卒の様に、ゼロから学ぶ姿勢を大切にして下さい。
知っている内容でも、メモを取り、その店舗の仕事内容は、完璧に行える様にしておきましょう。
誠実で謙虚な対応は、患者さんだけでなく、同じ店舗で働く従業員からも好感を得る事が出来ます。
年を重ねた薬剤師ほど、より一層注意したい内容になります。
⑥:転職後直ぐには意見を言わない
どんなに的確で正しい意見だったとしても、転職後直ぐでは、あなたの意見は、求められていません。
信頼されていない状態から、意見を伝えたところで、聞く耳を持ってくれない事は、調剤薬局の狭い空間を経験した事がある方は、理解出来るはずです。
仮にあなたが、エリアマネージャークラスの経験を積んだベテラン薬剤師であっても、転職して数ヶ月は、求められていない内容の意見は、言わない方がベターです。
薬局の環境を変えられる薬剤師は、現場で働く従業員を、先に味方に付けます。転職してから直ぐに、周りを敵に回してしまうと、どんなに前職で活躍していようと、転職先ではうまくいきません。
小さな規模の薬局ほど、現場を荒らされると思っている現場の従業員がいて、自分らの環境が変わらない様に、団結力を強めている事があります。
この場合は、特に転職してから直ぐに、強い言い方や、相手を不快な気持ちにさせる言動は慎むべきでしょう。
転職してから直ぐは大人しくしておくと良いでしょう!
⑦:処方元の医師を知る
調剤薬局に勤めていると、門前のクリニックの医師に、ストレスを感じている薬剤師が必ずいます。
医師と薬剤師の間柄で、性格や意見が合わない事は現場では多々あり、その度に管理薬剤師が、他店舗に異動になったり、酷い内容になると、指定された薬局に処方箋を持っていかない様に、患者さんに伝える医師もいます。
転職する調剤薬局の処方箋の割合を考えた時に、1番処方箋枚数の多いクリニックの医師を理解しておくと、転職後も失敗をしないで働く事が可能です。
門前薬局であれば、その殆どが隣接しているクリニック医の人柄を知る事、多く展開する調剤薬局でも、処方箋枚数が上位3位までに入るクリニック医の人柄を知る様に、転職先に確認しておきましょう。
どんなに薬剤師の性格が良くても、1度過去に崩された信頼を取り返す事は難しく、転職して入ってきた薬剤師が、取り繕ったとしても、関係を修復するには長い時間と、忍耐が必要になります。
私の知り合いには、門前の医師と馬が合わずに、薬局の立ち退きを余儀なくされた方もいます。
事前に処方医を知っておけば、余計なストレスを受ける事がありませんので、調剤薬局に転職を考えている方は、ぜひ押さえておきましょう!
実際に調剤薬局へ転職した薬剤師の体験談!
私は病院薬剤師から調剤薬局の転職経験者であり、徹底した薬剤師の転職サイトの活用と評価、調剤薬局企業の、店舗見学と比較を約半年以上かけて行いました。
転職エージェントに、自分が目指したい薬剤師像と、自分が譲る事が出来ない内容をまとめて、求人をいくつかリストにまとめました。
もちろん活用したエージェントは1社ではなく、5社以上に話を聞きに行き、特に見学したい企業の店舗をこちらから指定して、1日体験の予定を組んでもらう様にお願いをしました。
体験した調剤薬局は、合計4社で、店舗数として10店舗以上は、実際に薬局の中まで入り、雰囲気と繁忙度などを把握しました。
その他にも、大学時代の同級生に紹介してもらった調剤薬局もあります。最終的に2つの企業に絞ったのですが、1からマネジメントを経験出来る事、独立も考える事が出来る事、経営者が熱過ぎない方で、自分と考え方が合った事、年収も倍以上貰える事や、薬局の雰囲気が良かった事が決め手になり、転職に踏み切りました。
実際に転職してからは、現場の管理薬剤師に、みっちりと仕事を教えてもらい、最初の3ヶ月間、業務を覚える事に徹底しました。
また、誰が見ても店舗を回す事が出来る様な、マニュアルの作成も行いました。
業務を覚えていくと、病院時代にはあまり気にもしなかった、薬価と価格交渉の事や、診療報酬の勉強が足りないと自覚する様になり、業務を覚えてからの3ヶ月で、薬局の売上を上げる為に足りないものと、方向性をノートに書き溜めて保管していました。
職場の雰囲気が良かったので、最初の3ヶ月間で、全ての従業員と他愛のない世間話から、笑い話まで出来る関係を形成出来ましたが、薬局の売上を上げる為のノートの開示は、まだ早過ぎると考えて、再びシミュレーションと、業務のミスを減らしたりと現場の仕事に専念しました。
業務後もスタッフに食事に誘われたり、逆にこちらから食事だけでなく、相手の趣味に合わせたイベントを誘って、関係性を強くしていきました。
入社後、約半年でその店舗の責任者になってからは、ノートに書き続けていた、今まで変えた方が良いと思った業務における動線を変更しました。それらは非常に高評価で、責任者からも高く評価されました。
転職を行うに当たって、入念な準備と、入ってから初心を忘れずに、常に学ぶ姿勢を貫いた結果だと思っています。
まとめ
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。
薬剤師の中でも、最も馴染みのある調剤薬局は、企業の規模によっても雰囲気や方向性が異なります。
記事を書いてみて、調剤薬局へ転職を考えている薬剤師の中にも、様々な考え方があり、目指す薬剤師像も異なる事が改めて分かりました。
少しでもこの記事を読んで、転職に踏み切るキッカケになって頂けたら幸いです。
それでは、また。
他、薬剤師の転職関連の記事はこちら!