今回は薬剤師の年収のランキングについて、職場別に詳しく解説していきます!
薬剤師で自身の職場の給与が他の職場と比較してどれくらいか知りたい方は、ぜひ参考にして下さい!また、合わせて、年齢や男女別の薬剤師の平均年収についても解説していきます!
以下、目次となります!
薬剤師の平均年収はどれくらいなの?
さて、まず薬剤師の平均年収はどれほどなのでしょうか。以下、2018年度の賃金構造基本統計調査を参考にして作成した、薬剤師全体と男女別の平均年収の表が以下になります。
薬剤師全体の平均年収 | 510万円 |
---|---|
男性薬剤師の平均年収 | 540万円 |
女性薬剤師の平均年収 | 490万円 |
(※賃金構造基本統計調査|厚生労働省)参考
薬剤師全体の職場における平均年収は510万円になり、おおまかに年収500万円が1つの年収基準になる事が分かります。薬剤師業界では女性薬剤師が多く活躍していますし、女性薬剤師1人の稼ぎでも、ある程度不自由ない生活が出来る年収になります。
男女で年収に差がある事が分かりますが、女性薬剤師はライフスタイルの変化で、正社員からアルバイトやパートに雇用形態を変更せざるを得ない為に、若干年収が低くなってます。
ずっと正社員として働いていれば、男女間で大きな年収の差はありませんが、役職が付いてくる30歳前後に、女性は結婚などの大きなターニングポイントを迎えますので、そのような環境の変化に伴い年収に差が出てくる事が分かります。
実際に私が病院薬剤師として働いていた時は、男性薬剤師と女性薬剤師の年収は大きく変わりませんでした。
薬剤師の男女別及び年齢別の平均年収モデルは?
では、さらに細かく、男女別の年齢に分けた「平均年収モデル」を見ていきましょう!
年齢 | 男性薬剤師の平均年収 | 女性薬剤師の平均年収 |
---|---|---|
35歳 | 510万円 | 470万円 |
40歳 | 530万円 | 500万円 |
45歳 | 590万円 | 530万円 |
(※賃金構造基本統計調査|厚生労働省)参考
男性薬剤師の場合は、単純計算で40歳の時の月収がおおよそ40万円程度になると考えて良いでしょう。男性薬剤師は正社員の方が多く、ボーナスが付くので、平均年収を超える薬剤師が多い点が特徴になります。
また、残業代の支給も年収を引き上げている要因の1つと考えています。女性薬剤師も年齢と共に年収が徐々に上がります。
600万円以上の年収であれば、薬剤師の業界では、高収入の職場と言えます。
薬剤師の年収ランキング!職場別に詳しく紹介!
では、気になる薬剤師の職場ごとにおける平均年収とその特徴をランキングで見てみましょう!
職場 | 平均年収 | 特徴 |
---|---|---|
製薬企業 | 800万円 |
・1000万円以上を超える職場がある |
大学教員 | 700万円 |
・教授になると高年収になる |
ドラッグストア | 580万円 | ・新卒から年収が高い ・昇給しにくい |
治験企業(CRO) | 550万円 | ・薬剤師でなくても入社可能 ・昇給率が高い |
調剤薬局 | 550万円 | ・企業規模やエリアによって年収に差がある ・薬剤師の主な就職先 |
薬剤師国家試験予備校 | 550万円 | ・珍しい職場 ・意外と高年収 |
公務員薬剤師 | 500万円 | ・初任給が低い ・勤める市町村によって年収に差がある |
企業内薬剤師 | 480万円 | ・定時に終わり残業代が少ない ・安定して昇給していく |
医薬品卸企業 | 480万円 | ・薬剤師手当てが低い ・残業も繁忙期以外は少ない |
病院薬剤師 | 450万円 | ・初任給が低い ・違う病院へ転職しても大きく年収は変わらない |
1位の製薬企業とビリの病院薬剤師では、平均年収に大きく開きがあることが分かります。それぞれの職場について、以下で詳しく解説していきます!
①:製薬企業
製薬企業全体の平均年収は約800万円で、企業によっては平均年収が1000万円を超える事がある職場になります。
2018年度における製薬企業の年収ランキングでは第一三共が平均年収1104万円、アステラス製薬1079万円、大塚ホールディングス1076万円と薬剤師を目指せる年収の中では、トップと言える職場になります。
年収が1000万円台に到達するのは早くても、実力が認められた30台後半からになり、入社後10年程度では大台には乗らないので注意が必要です。
製薬企業によっても平均年収に差があり、例えば、沢井製薬や日医工などの後発品を扱うメーカーであれば、平均年収が600万円台と一般企業と比較すると高年収ですが、上位の製薬企業と比べると低いと言えます。
初任給は25万円前後で薬剤師としては、やや高い給料になり、最大の特徴として、ボーナスが他の企業と比べても6ヶ月分、それ以上のボーナスが支給される企業があったり、特別な成果によってインセンティブを得る事が可能な職場です。
今も昔も、学生に人気な職場と言えます。
②:大学教員
役職に応じて年収が高くなり、平均年収に差がある職場になります。また、エリアや勤める大学によっても年収が異なります。
准教授、教授になれるのであれば、年収800万以上の道は固いと思いますが、それ以下の役職の講師、助教、助手であると、年収は平均年収が450万から600万程度になり、年収に幅があります。
国立大学では研修生になる為に、半年間授業料を払わないといけない場合があり、私の周りには、薬剤師国家資格を手に入れた後に、研修生として仕事をしつつ、別口でアルバイトをして生活費を稼いでいた方もいました。
また、各大学には任期が設定されていて、年収が年俸制の大学もあります。研究で成果を上げて役職を上げたり、他大学の薬学部へとポストが空いたら、移籍をして年収を考える事も可能です。
自分の実力や行動次第で年収が上がる特徴も持ち合わせている職場になりますね!
③:ドラッグストア
現役薬剤師が働く方が多い職場になり、新卒でも年収500万円~550万円と早い段階から金額が弾む職場になります!
ドラッグストアに勤務している薬剤師は、3年目を目安に管理薬剤師に昇格します。年収が600万円程度に上がりますが、その後は役職を上げなければ、大きく年収アップは望めない事もドラッグストアの1つポイントです。
休みも少なく、忙しい為、残業もゼロにはならずに拘束時間が長い点はデメリットになり、3年を目処に辞めていく薬剤師が多い印象です。
良くドラッグストアの年収が高いと話題になりますが、上場企業が多く、残業代が1分当たりでも支給されたり、手当てが充実しているので、結果的に年収が高くなっていると考えた方が無難です。
キャリアの流れは、管理薬剤師からエリアを任される役職になれば、年収が600万円以上、管理職になると800万円以上の年収も期待出来ます。
上場企業が多く、ポストの空きが少ないので、年収を上げたいのであれば、長期的に会社の利益を出す事や、実績を積み続ける事が求められます。
また、ドラッグストアについて、より具体的に大手の企業を知りたい方は、以下のエントリーにドラッグストアのランキングをまとめているため、参考にして頂ければ幸いです!
今後もドラッグストア市場は成長が見込めるので、年収に関しても目が離せない業界と言えるでしょう!
④:治験企業(CRO)
治験を支援する会社に従事する薬剤師になり、会社の規模やキャリアによっても年収に差がある職場になります。
薬剤師の業界と比べると、自分のやる気と頑張り次第で、高年収を目指せる可能性がある働き方で、平均年収550万円程度と、一般企業からみても年収は高めだと言えます。
理由としては、シミックなど大手CROは初任給25万円前後でボーナスも手堅く支給される点、3年間勤務する事で年収がグッと上がる点、昇給率が他の薬剤師の職場と比較しても、良好な点が挙げられます。
キャリアを積んで役職が付けば、年収が700万円以上にもなりますが、そこまでに到達するには確実な成果と時間、上司からの評価が必須です。
私も過去にCROの転職を相談しましたが、経験がないと転職する事が難しいと言われる程、求人に空きがありませんでした。
また、調剤薬局やドラッグストアの様に、薬剤師独特の手当てが付かないので、その分、基本給が充実していてボーナスに反映しやすい特徴ある事もおさえておくと良いでしょう!
CROの仕事内容自体に興味がある方は、以下の記事に詳細をまとめているので、ぜひ参考にして頂ければ幸いです!
薬剤師でなくてもCROの企業に就職出来る事も特徴で、他の学生からも人気な業界です。
⑤:調剤薬局
働くエリアや企業規模によって年収に差がある点が特徴です。新卒は年収が400万円程度、30代、40代になると600万円以上の年収になる働き方で、転職エージェントをみても600万円を超える求人は多い職場になります。
大手企業が最も年収ベースが低く、全体の平均で年収550万円程度になりますが、役職が付き、管理職になると700万円以上稼ぐ事が可能です。
大手の調剤薬局については、以下の記事に調剤薬局のランキングをまとめているので、気になる方はぜひ見てみて下さい!
また、過疎地では、手当てとして毎月数万円を上乗せして働く事が出来るので、残業代と合わせると年収が600万円近くになる薬剤師も少なくありません。
会社規模が中規模、小規模と縮小するにつれて、平均年収は上がります。小規模であると自然に薬剤師が集まりにくく、オーナーとしても薬剤師の年収を気にして大手との差別化を考えています。
中規模薬局であれば平均年収が580万円程度、小規模であればそれ以上の平均年収を目指せます。
私自身、小規模薬局に勤めていますが、管理薬剤師で700万円以上も目指せる職場環境になっているので、環境によってもチャンスが広がる職種だと言えるでしょう!
ラウンダーやエリアマネージャーになると年収も上がりますし、大手の管理職になると800万円以上の年収も夢ではありません。
働く環境によって最も年収が変化する職場になると言えるでしょう!
⑥:薬剤師国家試験予備校
意外と知られていない薬剤師の職場になりますが、年収がやや高めに設定されているのが、薬学ゼミナールなどをはじめとする国家試験予備校の薬剤師になります。
新卒で月給30万円前後になる点は、調剤薬局を上回り、ドラッグストアに匹敵する給料で、実は他の企業と比べても比較的に年収が高い職場になります。
予備校講師は残業が多く、時間外にも資料の整理や勉強を行うので、賃金の発生しない作業時間があり、コスパは決して良くはありません。
しかし、各薬科大学に出張として、講義を行う出張費用や外勤手当て、薬剤師国家試験前の追い込みや、その後の雑務や、解説の時期は非常に忙しく、特別手当が支給されるなど、基本給以外に手当てがある点も、平均年収を上げている要因になります。
私の知り合いに薬剤師の予備校講師がいるのですが、昇給率や手取りも他の企業に比べても良く、3年目で年収500万以上を稼いでいた方がいました。
初めは年収400万円前半ですが、キャリアを積んでいけば、確実な給料アップが期待出来る環境です!
教室長、エリア長になると年収も600万円以上稼ぐ事が可能な職場になります。
⑦:公務員薬剤師
在籍年数を重ねると安定して年収アップを望める職場になりますが、初任給が20万円とスタートが低く設定されていて、新人の平均年収は低い職場になります。
薬剤師の公務員は、新卒で年収が350万円前後になり、30代では450万円、40代でも550万円と安定して昇給は出来る反面、生涯獲得年収で考えると年収が低い部類に入る働き方になります。
勤務先の市町村によっても平均年収は差が出る点が特徴で、就職する場所も考慮しないと、平均年収よりも低くなる可能性があるので注意が必要です。
また、部署によっても残業がゼロの職場、毎日夜遅くまで残業を行っている職場の差が激しいので、残業代によっても年収に差が出て来る事も知っておいて下さい。
ボーナスはしっかりと付く点はメリットになりますが、それでも若手で400万円代になる事が多く、薬剤師の中では年収が思ったよりも高くない点は注意しましょう!
公務員薬剤師の詳細については、以下のエントリーに具体的な仕事内容や職場をまとめているため、興味がある方は一読を!
平均年収を見ると500万円程度になり、薬剤師の中で一般的な年収と言えます。
⑧:企業内薬剤師
医薬品の品質を管理したり、検査を行い、行政に対して必要な書類を提出する仕事として、企業内や物流センターなどで働く薬剤師になります。
薬剤師の平均年収と比較すると、企業の薬剤師は480万円程度と低い職場になり、求人を見ても年収360万円からスタートの場合が多く、経験者で転職をしたとしても年収500万円が上限です。
年収が低くなる理由の1つに、残業の少なさが挙げられます。残業で手取りが増えて、平均年収を上げる薬剤師は多いですが、企業は繁忙期を除くと、定時に帰宅する事が出来る働き方になるので、年収は他の職場に比べると必然的に低くなります。
勤める企業の年収体系や昇給率に準ずるので、一概には言えませんが、緩やかに昇給して、年収自体は徐々に上がる傾向になります。
プライベートを充実させたい薬剤師にとっては、向いている職場になるはずです!
⑨:医薬品卸企業
約480万円が医薬品卸の薬剤師の平均年収になります。薬剤師の手当てが期待出来ないので、薬剤師の中では平均年収が低めの職場です。
6年制卒業の薬剤師でも、初任給が22万円前後で、年収は1年目で400万円を下回ります。
医薬品卸の営業所には1人薬剤師を在籍させないといけません。営業所では比較的に定時に帰宅する事が出来るので、残業手当ては基本的にないと考えた方が無難で、年収に加算される事は少ないです。
また、役職者として出世する薬剤師はごく僅かです。薬剤師ではない営業に従事する方であれば、年収700万円以上は夢ではありませんが、医薬品卸の管理薬剤師でそこまで年収を出す企業は少ないです。
医薬品卸の薬剤師の具体的な仕事内容については、以下のエントリーを参考にしていただければ幸いです!
医薬品情報担当になっても、始めは年収が低く、徐々に上がる職場になる事をおさえておきましょう。
⑩:病院薬剤師
薬剤師界の中でも年収が低いと認知されている職場になります。薬局のトップになっても年収が700万円程度で頭打ちになります。平均年収は450万円程度になり、副主任や主任と役職が付いても、400万円代後半の薬剤師は多いです。
病院の経営が悪化している職場ではボーナスが少なかったり、残業代も全て出なかったりと、病院によってもブラックな面があるので注意が必要です。
病院薬剤師であった私の初任給は、20万円を下回っていましたし、5年間勤めていて年収は400万円程度でした。
残業が多く、全てに残業手当てが付いたとしても年収500万円程度になる働き方で、薬剤師の主な就職先の中で最も平均年収が低いと言える職場になります。
病院薬剤師のより詳しい実態については、以下の記事に記載しているので、ぜひ参考にしてみて下さい!
年収を上げたい薬剤師がするべきことは?
さて、では実際に薬剤師が年収をアップするためにはどうすればいいのでしょうか。本項ではその具体的な方法について、熱く語っていきます!
また、手取りの給料を少しでも上げたいという方は、薬剤師の給料アップの方法を以下のエントリーにまとめているため、参考にして頂ければ幸いです!
また、目指したい年収のラインが800万円程度の方は、以下の記事に薬剤師が年収800万円を目指す方法をまとめています!
更に上のランクである、薬剤師で年収1000万を目指したい方は、以下を参考にして下さい!
①:副業を行う
個人的に1番おすすめな方法で薬剤師であればチャンスが広がっている内容です。先ずは副業が出来る環境かどうかの確認が必要になり、確認が出来れば、薬剤師として空いた時間にWワークを検討したり、在宅でも出来る副業を始めてみて下さい。
年収を上げる為には、自分の時間を犠牲にしないといけません。薬剤師であれば夜間のアルバイトや、医療ライターとしても需要があります。
中には正社員で働きつつ、アルバイトで年収を上げている方もいます。リスクも比較的高くないので、行動を起こせば高確率で年収を上げられる方法になります!
より具体的な薬剤師の副業については、以下の記事を参考にして下さい!
②:過疎地に行く
全国展開をしている調剤薬局やドラッグストアで働く薬剤師であれば、検討するべき内容になります。
病院や製薬企業、その他の職場では過疎地域による手当てが基本的にないので、過疎地に行くメリットがあまりありません。
しかし、大手調剤薬局やドラッグストアに勤める薬剤師はあえて、遠隔地手当てを貰える様に上司に掛け合ってみたり、全国勤務コースに異動願いを提出してみたりと、環境を変えてみる事が年収アップの一つの方法になります。
年収を上げる為には、人が行きたがらないエリアの北海道の僻地、離島、半島を狙って働く事を検討してみて下さい!
③:転職を視野に入れる
若手や30代であれば転職で年収アップは期待出来ます!
私も病院薬剤師であった時にコンサルタントに相談をしましたが、間違いなく調剤薬局かドラッグストアに転職すれば年収が上がると言われました。
病院の年収自体が低かったので、私は成功しましたが、自身が勤めている職場によって年収が増減する可能性があるので注意が必要です。
実際に私が利用したファルマスタッフ は、非常に丁寧な対応で、転職相談に乗ってくれました。
また、コンサルタントに年収を交渉してもらう事や、複数のエージェントを利用して年収を比較する事も考えてみましょう。特に、大手よりも小規模な企業の方が年収の交渉がしやすいので覚えておくと良いでしょう。
私が実際に利用した薬剤師の転職サイトのおすすめは以下のエントリーにまとめているので、ぜひ一読を!
④:起業を考える
お金を増やす働き方を検討します。薬剤師であれば調剤薬局の起業が理にかなっていて、年収も上手く行けばグッと上がる方法です。
人件費をおさえる為に、従業員は最低限にして、1人で全てをこなす様にしてみても良いかもしれません。2、3店舗の経営を行うと収入も分散出来て、安定した稼ぎになるのでおすすめです。
夫婦同士薬剤師の場合は、2人で1店舗を管理する事が、最も人件費をおさえられる経営になるでしょう。また、固定費をなるべく増やさない起業を考えるのがベターです。
薬剤師であれば、何も薬局に関わらない起業を考えても良いでしょう。自分自身は薬剤師として現場で働いて、起業した会社を誰かに任せる事も出来ますので、お金を使って、お金を増やす方法を考えてみるのも1つだと思います!
以下のエントリーには、薬剤師が独立や開業を考える際にするべきことをまとめているので、興味のある方は、参考にしてみて下さい!
まとめ
いかがでしたでしょうか。働いてからは友人同士、年収を気にする場面も出てくるかと思います。
薬剤師の業界では職場によって新卒から年収に差が出てきますし、同じ薬剤師でも5年後、10年後と長期的に考えると生涯年収は変わってきます。
薬学生の時から職場選びをもっと真剣に考えておけば良かったと記事を書いてみて思いました。また、年収も大切ですが、働き方やプライベートが確保出来るバランスも重要だと感じました。
今回の記事で少しでも何かの参考になれば幸いです!
それでは、また!
他、薬剤師の仕事関連エントリーはこちら!