今回は、大手企業であるクオールについて、その概要や特徴、年収や昇給、業務内容などについて、詳細に現役薬剤師である私が説明していきます。
クオールへの転職を考えている薬剤師や、新卒でクオールに興味がある薬学生は是非参考にして頂ければ幸いです!
以下、簡単な目次となります。
クオールとは?現役薬剤師が解説!
1992年に創業後、保険調剤薬局を展開している大手企業で、全国の地域に密着した攻め方をしている会社になります。
かかりつけ薬剤師や健康サポート薬局を視野に入れて、全国1000店舗を目指していて、ビックカメラ内に薬局が入っていたり、JR西日本やローソンともタッグを組んで薬局の在り方を進化し続けている企業です。
薬剤師は調剤と投薬だけでなく、クオール利用者に総合的なヘルスケアを提供出来るように体制作りを目指しています。
スローガンは「あなたの、いちばん近くにある安心」であり、人の想いに根差した考えを持っている企業で、綺麗な外観と内装は若い薬剤師たちから一定の評価を得ています。
地方の小規模から中規模薬局をM&Aとして進めていて、経営規模の拡大を視野に展開している調剤薬局チェーンのトップ層に君臨する企業になります。
クオールの特徴8選について説明!
本項では、クオールの特徴についてより細かく解説していきます。
大手企業ならではの取り組みも非常に多く、様々な事業にも進出しているため、それらも含めて記載しています!
1.マンツーマン薬局が多い
1つの医療機関に対して1つの薬局を展開して、処方箋元の医師とのコニュニケーションを重要視しています。
メリットとして、地元の患者さんが通ってくれるようになるので、患者さんの事を良く把握する事が出来て、異動がなければ、かかりつけ薬剤師として医療を提供出来たり算定を取る事が可能です。
雑費や人件費など最小限に抑える事が可能なので、働いている薬剤師は慣れてしまえば良い職場環境になりやすいと思いますし、患者さんから見ても同じ薬局で同じ薬剤師にアドバイスを貰える事はとても安心できると思います。
病院前はもちろんの事、病院内の売店でもクオールとして進出している点には驚きました。病院とも親密な距離であるのは、現場の薬剤師にとっても仕事が円滑に進むためメリットとなります。
2.コンビニエンスストアと提携している
コンビニエンスストア大手のローソンと提携を結んでいる薬局として有名なのが、クオールになります。
まだまだ店舗数自体は少ないですが、ナチュラルローソンクオール薬局という名前で徐々に勢力を拡大している点が特徴です。
コンビニエンスストアの立地や利便性を活用して、処方箋を持っていない方にも健康相談や薬の相談を身近に感じさせてくれる工夫をクオールは行っています。
ローソンに登録販売者を常在させる事によって、処方箋無しで購入する事が出来る一般用医薬品が増えて、助かる地域の人も増えていると思います。
ローソン商品に加えてヘルスケアの商品にも焦点を当てていて、健康志向型のコンビニとして話題があります。関東圏に強いクオールですが、今後は更にローソン併設型薬局を関東圏から展開する動きを見せています。
実はコンビニエンスストア併設型の薬局はクオール薬局だけではありませんが、大手調剤薬局チェーンで、展開スピードが速いのはクオールだけになっています。
3.駅にクオール薬局がある
JR西日本のデイリーサービスネットが事業主体になり、調剤薬局をメインに行う駅内に特化した事業を展開しています。
第1号店は大阪駅の改札口から直ぐ近くに出来ていて、年中無休で平日は夜の22時まで、日祝日は夜の20時まで営業しているため、利用時間が一般的なクリニックの門前よりも長いのが特徴になります。
駅内にあるので車の駐車場はありませんが、電子マネーを利用できる点や、処方箋送信アプリにも対応しており、様々な工夫をしています。
また、他の調剤薬局の差別化として、管理栄養士から健康相談のアドバイスを頂くことが可能です。
処方箋で調剤する医療用医薬品も多くの種類があり、急配しないように対策を練った駅薬局になっています。
外観や内装も清潔感があり、ビジネスマンや旅行者にも役に立つアイテムも多数取り揃えています。今後も大きい駅内にクオールの薬局が徐々に出て来ると思いますし、クオールの特徴の1つになります。
4.医薬品販売業務受託機関を行っている
CSO事業(医薬品販売業務受託機関)とは、製薬企業等との契約により医薬品等のマーケティングや情報提供活動に関わる一連のサービスを提供することを指します。
クオールのグループ会社にアポプラスステーションというCSOや医療従事者を派遣委託している会社があり、製薬メーカー営業やマーケティング分野のサービスを提供しています。
直接、私たち薬剤師の現場には関わることは少ないですが、新薬の副作用確認を行う時に、クオール薬局に訪問する製薬メーカーMRが、アポプラスステーションで研修を受けたMRである可能性があります。
クオールは保険調剤事業だけでなく、医薬品販売業務の委託も行っている企業になります。
5.出版関連事業を行っている
メディカルクオールという薬剤師関連や、その他のマルチメディアに対する広告事業や情報提供用の資材を作成しているクオールのグループ会社があります。
インタビューフォームやDI関連のサポートや管理に関して長年の実績があり、改定箇所が出来た場合にもスピーディに取り掛かる姿勢の会社です。
総合医療情報誌として「月刊メディカルクオール」の発行や薬剤師に対しての使える手帳として「PHARMACIST'S DIARY」を作成しています。
特に、PHARMACIST'S DIARYではカレンダー機能に加えて各種疾患の治療ガイドラインや薬局で使える薬学英語、学会の日付も記載されているので現場の薬剤師には一定の評価を得ています。
他にも検査値の基準や主な漢方薬、喫煙・サプリメント等と医薬品と相互作用例を網羅しているので、完成度が高いコンパクトブックになっています。
クオールは出版事業にも強みがあるのでウェブ関連などのインターネットを利用した情報提供も得意としています。
6.社内独自の認定薬剤師制度がある
日本薬剤師会や県の薬剤師会など、地域によって認定薬剤師を取得する事は全国どの薬剤師も取る事が出来ますが、会社オリジナルの認定薬剤師制度を作っていて、研修プログラムを組んでいる企業は少ないです。
別名QOL認定薬剤師制度と言い、コースがエキスパートコースとスタンダードコースに分かれています。
エキスパートコースはクオールである程度の経験をしている薬剤師を会社から選抜して、1年間の研修を行うコースになります。
1年間通して学ぶ内容はがん領域に関してや、認知症領域、在宅や糖尿病領域と今後に需要があるジャンルが多いのが特徴になります。
教えてくれる講師は医師や専門家になるので、誤った情報を吸収する事はありません。また、在宅医療に関してのチーム医療のノウハウも学べる点は魅力です。
スタンダードコースでは、クオール独自のwebシステムによる研修を受ける事が可能で、生活習慣病の各種ガイドラインを元にした治療方針や、一般用医薬品に関しても学べるボリュームになっています。
7.一般人向けにも薬局研修を行っている
クオールアカデミーという、教育や研修に特化した事業も行っています。
このアカデミーはクオール内だけで行うだけでなく、他の企業や個人に対しても受講できる点が魅力です。
1人薬局の薬剤師でも、数店舗を経営している薬剤師でも受講する事が出来て、内容は調剤未経験者の為のコース、ブランクがあり久しぶりに復帰する人の為のコース、実務をロールプレイ出来て投薬など実践形式で行うコースがあります。
薬剤師であれば正直これらはそこまで需要はありませんが、MR歴が長くて、1度も薬の調剤を扱ったことがない人や、一般人であり、薬剤師ではない人におすすめです。
クオール以外に勤める薬剤師でおすすめなのは、無菌調剤研修です。クリーンベンチ内で行う輸液の調製や、卓上の勉強を最大2日間かけて学べる内容になっています。
もちろん有料にはなりますが、日本女性薬剤師会認定単位を取得する事が出来るので、認定薬剤師を目指している薬剤師にはありがたい取り組みになっています。
8.初任給は他の大手調剤薬局に比べると高い
私が大学時代の友人と話した中で驚きが多かったのが、当時クオールが勢いがある会社であり、人事の人に言われた言葉で「新卒で年収700万円可能」という言葉でした。
6年生の卒業生だとしても、新卒から高い年収を出せる会社として有名でした。現在はそこまで高くはありませんが、全国転勤がある全国コースでも額面で月に約30万から38万円手にする事は可能です。
他の大手調剤薬局に関しては、額面は高くてもおおよそ28万円程度と考えると、クオールの初任給は比較的に高いと評価できます。
1年目はボーナスは満額出ませんが、2年目以降には年に2回しっかりと出るので給料面で言えば大手の調剤薬局の中ではトップクラスになると思います。
クオールの評判は?現役薬剤師が調査!
さて、大凡クオールの特徴は掴めたでしょうか!
本項では更に詳しく、クオールについて解説していきます。給与情報やキャリアプラン、福利厚生など詳しい情報についても調べましたので、是非参考にして下さい!
クオールの給与情報について
体系的に3つのコースに分かれていて、それぞれの給料と手当が異なります。
全国を飛び回る全国勤務コースと、エリアブロックの範囲内で異動があるエリアコース、地元で自宅から60分以内の交通時間を目安とする地域コースに分かれます。
他の大手調剤薬局チェーンでも行われている形態になり、全国に異動出来る薬剤師ほど給料が高くなっています。
地元限定であれば基本給が25万円程度で、エリアコースになればそこから数万円プラスになり、全国勤務コースになれば手当が5万円も付きます。
地方に異動すると赴任手当が約2万円、住宅手当は9割会社が補助してくれるので、10万円の賃貸の場合は、9万円分の家賃手当が付き、給料自体は跳ね上がります。
しかし注意したい点は基本給はそこまで変わらないけれど、手当が付くという点です。
年に2回のボーナスには基本給から計算されて支払われますので、手当分は反映しないため思ったほどボーナスが跳ね上がる事はありません。
6か月分出る訳ではなく、約4か月分になるので6か月分出る調剤薬局に比べると低くなる傾向にあります。
人事評価もカウントされるので、高評価の薬剤師はボーナスが高め、低い薬剤師はボーナスが低めになるので、ある程度のストレスは覚悟した方がいいでしょう。
クオールの昇給について
1年目から3年目まで管理薬剤師になる期間は1年間で、約2000円程度の昇給になります。管理薬剤師、薬局長、エリア長と役職が上がるにつれて昇給していきますが、基本給が大きく上がる訳ではなく、役職手当として基本給とは別に手当が付きます。
昇給も社内評価制度も重要視される場合がありますが、地方にある店舗では人が少ない状況により、若くても管理薬剤師や薬局長になる事は十分可能です。
薬局長やエリア長になれば30万から40万は手にする事は可能ですが、都市部になればなるほどポストの空きがないので、役職が付くのは難しいです。
等級制度を取り入れていて、人事評価で細かく分かれていてボーナスにも反映します。
昇給には少し異なるかもしれませんが、かかりつけ薬剤師の条件である認定薬剤師になれば薬剤師手当が5万円になったり、学会発表を行い経験を積むと薬剤師手当が6万円になったりと手取りは増える傾向にあります。
まだまだ薬局を展開していますし、昇給のチャンスは多い様です!
クオールの業務内容について
一般的な調剤薬局での業務になり、処方箋監査、疑義紹介、調剤、投薬、薬歴記載など、現場に即した対人業務を行います。
薬局内について、特にクオールが率先しているなと感じた業務内容は、OTC関連における販売です。
全国のクオールの店舗に、自社ブランドである健康食品やOTC関連が郵送で送られてくるので、薬局長並びに、管理薬剤師、勤務薬剤師、医療事務のスタッフ全員で商品を売り、決まったノルマを達成する様にセールスを行います。
そのため、処方箋を受け取りさばくだけではなく、積極的に薬局側からアクションを起こします。また、日常業務に加えて薬局内の改善するべき点をブラッシュアップして良くしていく業務も多いです。
かかりつけ薬剤師の場合、患者件数を月にどれだけ取る様に指令があったり、残業を減らすために効率的な業務改善を実施する様に命令が来たりします。
また、繁忙期やエリアによりますが、忙しいと夜中まで残って薬歴を記載することもあるようです。逆に、薬剤師数が足りていいる店舗は、残業は若干あるものの夜中まで残って業務を行う事は基本的にありません。
在宅医療に携わる事も出来ますが、決まったエリアでしか対応していないので、出来る店舗とそうでない店舗に分かれます。
やりたい人は全国勤務コースになっていて、希望を伝えて人事が首を縦に振れば可能ですが、新人薬剤師からは難しいかもしれません。
本社では人事担当としてリクルート活動の援助や社内資料作成、教育資料の作成案内などを行います。キャリアを積むと本社から運営や経営に関して実践していく仕事を行います。
クオールの休暇・福地厚生について
自分が疾患や風邪などで医療機関に受診して、その時に出るお薬代を一部補助してくれる制度が人気です。若手の薬剤師から年配の薬剤師まで福利厚生として幅広く活用しています。
他には一般的な大企業の福利厚生としてカフェテリアプランがあり、娯楽施設やホテルの割引に、レジャー施設の優待などを行う事が出来ます。
全額補助ではなくあくまで一部援助してくれる制度になります。e-Learningや勉強教材を購入した費用補助もあるので薬剤師としては嬉しい福利厚生です。
クオールの平均勤続年数は?
1年目から辞める薬剤師ももちろんいますが、2年目から辞める薬剤師の方が多い印象です。
研修プログラムの目安が3年間であるのも関係しているかもしれませんが、3年目を目処に離職してしまう薬剤師がいるので、2年から3年が平均して辞めてしまう年数になります。
大手調剤薬局は、若手がたくさん入ってくるだけでなく、若手が辞めやすい傾向になります。
クオールでのキャリアの積み方は?
新人から3年目までは教育プログラムが組まれていて、エリア、全国勤務コースの薬剤師は、多店舗を含めて、応援ありきの勤務薬剤師として仕事をこなします。
早ければ3年以内に管理薬剤師になりますが、3年目以降に管理薬剤師になる例が一般的です。
地域によっては20代後半や30代前半で薬局長になる事が可能で、希望により本社勤務として社内資料作りや人事に関わる部署に配属される事もあるようです。
管理薬剤師を経験後に店長である薬局長を経由してエリア長になるキャリアが一般的になりますが、店舗が広くて薬剤師の数が多い場合には管理薬剤師の次の役職として副薬局長のポジションが存在しています。
40代でエリア長になり、その後はクオール社の運営や経営に携わる役職へとキャリアアップしていきます。年に1度人事相談を行う事が出来るのでキャリアプランを随時変更出来る点も親切だと思います。
クオールの求人内容の紹介!
クオール関連の求人情報について説明します。
求人は流動的な為、以下の求人が実際に薬剤師の転職サイトに記載されているわけではないですが、一つの参考に考えて頂ければ幸いです。
また、クオールへ本気で転職を考えている方で、どの転職サイトを使えば良いか迷っている方は、是非以下のエントリーを参考にしてみて下さい!
現役薬剤師の私が実際に利用した、おすすめの転職サイトをまとめています!
求人例1.在宅訪問服薬指導に力を入れている勤務薬剤師募集
店舗にて服薬指導をメインに調剤、監査や在宅に出向き服薬指導が行える職場になります。総合診療科門前で残業はほぼなし、給料が経験によりますが、30万円前後です。
週休2日制、全国勤務コースにすると、借り上げ社宅制度にて自己負担が家賃の1割で済む利点もあります。カフェテリアプランでクオールの福利厚生も活用出来ます。
正社員も募集していますが、パートやアルバイトであれば時給2000円で働く事が可能です。
求人例2.地域限定の地元から通える好立地な勤務薬剤師
マンツーマン薬局でも調剤、投薬業務がメインの仕事内容になります。
場所は駅から徒歩5分で近いと思いがちですが、都市部から離れた公共交通機関の本数が少ない駅から徒歩5分であり、地元がその土地でなければ先ず行かないだろうと思える求人でした。
現場から欠員が出た薬局の様で常時募集している店舗であったので、同じエリアからの応援が来るような体制であるので、忙しい様子も同時に伺えました。
年収400万円~600万円で年齢や経験に応じて600万円に近づきますが、病院薬剤師からの転職であれば調剤薬局の経験が0に等しいと評価されてしまうので、新人同様としての扱いになります。
週休2日でこの店舗に関しては残業が日常的にあると思う求人でした。
求人例3.耳鼻科メインの調剤薬局派遣薬剤師
東京都の人気エリアにある薬剤師を急募している派遣薬剤師の求人です。
時給は3000円になっていましたが、経験に応じて3500円までアップする事が可能です。派遣薬剤師が初めてな薬剤師はスタートが3000円からになると思いますが、1日70枚程度の処方箋枚数であるので、効率の良さや適応能力が大切になってくる求人になります。
健康保険、厚生年金、労災保険、医療過誤保険は問題なく受けることが出来るので安心です。電子薬歴などストレスなく業務も行う事が出来て、人気の東京エリアになるので早いもの勝ちですぐに埋まってしまう求人だと思います。
まとめ
いかかでしたでしょうか?急成長の裏側には、地方への人材不足の問題から、ローソン併設型薬局の推進など、健康志向を目指した薬局の在り方を目指している企業だと記事を書いてみて感じました。
店舗数も数年で多く開業していて、今後も目が離せない企業であると感じます。
私も薬学生時代から耳にした事があったビックネームです。処方箋付け替えの問題もありましたが、多くの薬剤師が勤めている大手になります。
本記事が、薬剤師や薬学生に少しでも良かったと思える記事だと思ってくれたら嬉しいです!
それではまた!
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