今回は与論島で働いている薬剤師さんに、直接インタビューをしました!
与論島について、人口からアクセス、その他薬剤師としての働き方や、良かった事、悪かった事を語っていきます!
与論島で薬剤師として働きたいと考えている方は必見です!それでは、いってみましょう!
以下、目次となります。
- 与論島とは?
- 与論島の人口は?
- 与論島へのアクセス方法!行き方について詳しく解説!
- 与論島の薬剤師ってどうなの?働き方は?
- 与論島で薬剤師として働いて良かったこと!
- 与論島で薬剤師として働いて悪かったこと!
- 与論島の薬剤師の求人は?
- 与論島で働く薬剤師からのメッセージ!
与論島とは?
皆さんは、与論島がどこにあるのかをご存知でしょうか?
私は与論島に上陸する前まで、てっきり沖縄県に属すると思っていたのですが、実はそうではなく、奄美群島のひとつで、鹿児島県最南端の離島になります。
沖縄本島から北に約23km進むと見え、別名、白い砂やサンゴ礁に囲まれた「癒しの地」とも呼ばれている、フォトジェニックな島です。
また、「死ぬまでに行きたい世界の絶景」として有名な与論の百合ヶ浜や、映画「めがね」で実際の舞台にもなりました。
私が与論島に訪れた季節は9月半ばになります、温度が30℃近くあり、何もしないでも汗が吹き出てくる暑さでした。
しかし、そんな猛暑日でも、高齢者の住民の方が元気に歩いていたり、街の飲食店でイキイキと働いている姿がとても印象的でした!
さらに、海を訪れた際には「こんなに青い海見た事ない!」と心の底から思いましたし、家族と共にのんびりとした時間を過ごす事が出来ました。
与論島は、今までの旅行の中でも、最も胸が躍った秘境でもあり、家族でのんにり過ごせた至福の島であると感じました!
与論島の人口は?
与論町のホームページにある町勢要覧、統計資料を参考にすると、平成30年版は、人口総数5,186人(内、男性2,509人、女性2,677人)です。
今回は2泊3日で土日を挟んだ連休で旅行に行ったのですが、実際に与論島を散策すると、信号も多くはなく、栄えているエリアに足を伸ばさなければ、内地の人に遭遇する事もなかったです。
さて、ここで与論島の人口の推移を見てみましょう。
表:与論島の人口の推移
上記の表より、徐々に人口が減っていることがわかります。
今回お会いした、与論島在籍の薬剤師さんの会話で、「高齢者は多く、子供が少ない、高校を卒業すると島を出ていく方が多い」という内容が、強く反映されていました。
また、実際に担当する患者さんの年齢に関しても、60~70歳でもまだまだ若く、80~90歳から高齢者という感じであると語っていました。
さらに、特徴的な点として、与論島出身者は島を出ていく方もいる反面、本州での生活を経て再び与論に戻って来たり、外からの移住者も一定数いることです。
与論島へのアクセス方法!行き方について詳しく解説!
与論島へのアクセス方法として、空路と航路の2つの選択肢があります。以下、それぞれ見出しごとに詳細な行き方について解説していきます。
①:飛行機でのアクセス方法
航空会社名 | 空路 | 所要時間 |
---|---|---|
JAC(日本エアコミューター) | 与論空港⇔鹿児島空港 | 約75分 |
RAC(琉球エアコミューター) | 与論空港⇔那覇空港 | 約35分 |
空路は鹿児島空港のJAC(日本エアコミューター)と、那覇空港のRAC(琉球エアコミューター)からの方法があり、距離が近い那覇空港の場合、約35分で与論島まで到着する事が可能です。
私は、鹿児島空港から乗り継ぎで与論島に向かいました。行きについて、「空の風が強かったので到着を遅らせる」とアナウンスが流れ、15分程遅延して到着しました。
ちなみに帰りに関しても、予定していた離陸時間よりも15分程遅れて出発しました。台風によるキャンセルも視野に入れていたので、当日になるまでヒヤヒヤでしたが、何とか無事に飛行機が飛んでくれて、ホッとしました。
鹿児島空港と与論空港のどちらも、それほど混んでいる訳では無かったので、ストレスもなく空の旅を楽しむ事が出来ます。
子どもは初めての飛行機だったので、トイレなどアタフタしましたが、無事に到着しました。
②:フェリーからのアクセス方法
船舶会社名 | 航路 | 所要時間 |
---|---|---|
マルエーフェリー(株) | (鹿児島港)-(名瀬港)-(亀徳港)-(和泊港)-(与論港)-(本部港)-(那覇港) | 約19時間40分 |
マリックスライン(株) | (鹿児島港)-(名瀬港)-(亀徳港)-(和泊港)-(与論港)-(本部港)-(那覇港) | ・クイーンコーラル8:約19時間40分 ・クイーンコーラル:約20時間20分 |
フェリーについては、上記航路を見れば分かりますが、鹿児島港と那覇港を繋ぐ航路になっています。
飛行機に比べると所要時間も約1日費やしてしまうので、時間にゆとりがある方は、フェリーの選択肢はありかもしれません!
今回は2泊3日の旅行になったので、船による与論島着陸が出来ませんでしたが、子どもがもう少し大きくなったら、一緒に船舶旅行にトライしてみるのもありだと感じました!
フェリーでは、船酔いに要注意ですし、欠航する場合もあるので、体調や時間を気にしない方に向いた行き方です!
与論島の薬剤師ってどうなの?働き方は?
与論島に住む、元薬剤師のはなアンニャーさん(@hanadeso3)とは、ツイッターを介して、お互いの存在を知りました。
私も元々、離島の医療や薬剤師の働き方について関心を持っていたので、今回の対談を依頼し、その後、与論島へと向かったのです。
結論として与論島には、薬剤師が勤務可能な職場が3つある事がわかりました。1つずつ見ていきましょう!
①:与論徳洲会病院
与論徳洲会病院は、離島の病院展開をしている、徳洲会系列の病院です。
与論島に住む患者さんの多くが、こちらの病院を利用しており、薬剤師と患者さんの距離も近く、顔見知りが多く来院する病院です。
薬剤師の仕事は、午前中に外来患者の調剤と服薬指導、午後は入院患者の調剤に加えて、特養の定期処方も準備します。
TPNや抗がん剤の調剤は、クリーンベンチや安全キャビネットの設備の関係もあり、薬剤師が直接行っている訳ではありません。
興味深かった話は、医薬品管理による医薬品供給の流れでした。緊急度に分かれて3つのルートがあり、通常配達は発注してから2日後に、奄美大島からフェリーで配達されます。
本州の病院であれば、午前中に卸に注文をすれば、午後には届くことが多いですが、やはり離島の場合は、医薬品供給の速度はあまり早くはありません。
急ぎの配達の場合は、朝の発注に間に合えば、飛行機で当日に届かせる事が可能になります。朝の発注に遅れてしまうと飛行機でも翌日になってしまう可能性が高く、ある程度の予想を立てて手配をしなければいけません。
また、奄美大島から船で薬を届ける際に波が強いと船が欠航になる事もあり、オペで使用する抗生物質が足りなくなった場合には、代替薬を提案しますし、薬の在庫数によりシビアに考える必要があります。
さらに、最も緊急度が高い場合は「空港ドメ」と言って、病院の職員が与論空港まで取りに行きます。
与論島には医薬品卸の営業所がないため、病院スタッフが、与論島航空まで車を走らせて薬の出待ちをします。
飛行機の便も時間通りに来ないかもしれない中、着陸時刻を計算して病院自らが急ぎの薬を取りに行くのが、最も迅速であった医薬品供給なのは驚きでした。
徳洲会系列の病院は、人員フォローとして、例えば宮古島に数ヶ月間、応援移住したり、逆に北海道から与論島へ来た薬剤師もいます。
②:与論島調剤薬局
お隣にパナウル診療所という町の診療所があり、少し離れたところに、唯一の調剤薬局である、与論島調剤薬局があります。
パナウル診療所が内科、外科、小児科の診療のため、与論島調剤薬局は一般的な内科領域の医薬品を取り揃えている可能性が高いです。
かごしま医療情報ネットによると、開店は平日は8時30分から18時、土曜日はお昼12時まで営業しており、在籍薬剤師が1人で運営している薬局でした。
他にも、在宅患者訪問薬剤管理指導届出施設の基準を満たした薬局で、在宅や地域住民に対して啓発運動も実施している事も分かっています。
残念ながら向かった曜日が日曜日ということもあり、現場の薬剤師にお会いする事が出来ませんでした。
③:学校薬剤師
学校薬剤師は、1年に2回、各小中学校を回ります。
春は、衛生環境調査として、側溝やトイレ、水道、洗い場などが清潔であるか、適切に使われているか調べます。
また、きちんと水が流れているかどうか、水がたまって「ボウフラ」の発生源になっていないか、ネズミなどの害虫の発生はないかも確認します。
秋は、照度検査です。明るさが適切かどうか、照度計を使って、各部屋の黒板6箇所、1部屋9箇所の照度を測ります。その他の仕事として、不適切な箇所や改善してほしいところを役場に報告します。
学校薬剤師の仕事については、以下の記事にも詳しくまとめているため、合わせて一読ください!
学校の保健委員会に参加し、助言したり、お薬に関する講演を行うこともあります。
与論島で薬剤師として働いて良かったこと!
はなアンニャーさん(@hanadeso3)との会話で、与論島で働くことにより、仕事とライフバランスの調和がしっかりとれることが分かりました。
以下、与論島で働くメリットについて、記載していきます。
①:海が近くマリンスポーツを楽しむことができる
海が近く、ダイビングなどのマリンスポーツに没頭できる環境が整っていることが、与論島の一番の特徴と言えます!
実際に、与論島を訪れる薬剤師やその他の方は、ほとんどがダイビングライセンスを取得して、帰省するほど海を身近に感じています。
また、毎週末に与論島だけでなく、他の沖縄諸島にも旅行に出かけられるのもメリットです。
アクティブな薬剤師であれば、仕事が始まる前に、早朝サーフィンを楽しむなど、仕事と趣味をバランスよく満喫することが出来ます!
正社員として永住を考えなくても、リゾートバイトとして期間限定の移住を考えるのもありだと言えますね!
②:スローライフを満喫できる
与論島にいると、夕方になっても日が明るく、外に出ても騒がしい人混みがありません。
そのため、スローライフを過ごし、心にゆとりを取り戻したいと考えている方にとって、とても魅力的な地域だと言えます。
その他、「海釣り」が好きな薬剤師も良いかもしれません。フェリーを使用して本格的にハマるのも良し、自分のペースでゆったりと釣りを楽しむのも、また良しです。
最後は、フォトジェニックな星空を眺めながら、ゆったりとした時間の流れに身を任せるのも、楽しみの一つと言えます!
自然にあふれ、ストレスを癒してくれる環境が、整っているのが素晴らしいですね!
与論島で薬剤師として働いて悪かったこと!
はなアンニャーさんは「医薬品の供給が不便である」、「都会ほど医療が発達していないので、やりがいはないかもしれない」という2点を挙げていました。
閉鎖的な環境であるからこそ、新しい医療が入りにくく、薬剤師として新鮮な取り組みをしたい、臨床スキルを上げたいと考えている方は、少々物足りなくなってしまう可能性があります。
逆にオンライン診療や、服薬指導などは、チャンスかもしれないと思いましたが、インフラが整っていないため、まだまだテクノロジーを導入するのには時間がかかりそうです。
また、個人的に感じた内容として、与論島は職場数が少ないので、一度人間関係が崩れてしまうと、一気に取り返しの付かない事態になってしまう可能性も考えられます。
離島だからこそ、職員同士お互いの距離の取り方が問題になりやすいのかも知れません。
与論島の薬剤師の求人は?
与論島の薬剤師として働きたいのであれば、与論島病院の職員として働く事が最も近道です!そのため、徳洲会病院へ直接連絡をして募集の有無を自身で確認することをおすすめします。
徳洲会系列では常に薬剤師の募集を掛けている可能性は高いですが、必ずしも与論島勤務になる保証はありません。奄美大島の病院になるかもしれませんし、宮古島、または本州の異動になる可能性もゼロではないでしょう。
調剤薬局を開業しようとしても、与論島にはクリニックが1つと医師不足にも深刻な悩みがあるので、自分で会社を興すのも難しい挑戦になります。
与論島唯一の調剤薬局に転職するのもありかもしれませんが、現状1人薬剤師で回っている状態では、中々、求人が出てくるのも期待出来ません。
結論としては、徳洲会病院の薬剤師であれば求人の可能性があるので、本気で与論島で働きたいと考える場合には徳洲会病院の門を叩いてみるのが良いでしょう。
与論徳洲会病院のホームページには、薬剤師の求人募集の記載がありますよ!
与論島で働く薬剤師からのメッセージ!
こんにちは。与論島のはなアンニャー(@hanadeso3)です。
正直、あまり薬剤師のお友達がいないので、キクオ(@kikuo1005)さんが与論島にいらっしゃって、とても嬉しいです。ありがとうございます。
私が与論島に来たのは、地元の病院で病院薬剤師を始めてすぐです。その頃は、仕事が全然できなくて、先輩薬剤師に怒られる毎日でした・・・。
そんな時に行った与論島で、なぜか、「将来絶対ここに住みたい!」と、思いました。
しかし、今の何もできない状態で、島に来るのは、大変でだろうから、(まさか、こんな小さな島に大きな病院があるとは思わず、小さな診療所で自分一人で何でもできないといけないと思い込んでいました。)、がんばって、ひとりでも働ける力を身に付けてから、移住しようと心に決めたのです。
それから4年、なんとか自信を身に付けて、「地元の病院での仕事はもうやりきった!」という思いもあり、ダメ押しでヨロンマラソンを走ると、「このままではいけない、人生やりたいことやらなきゃ!」という気持ちが生まれ、サクッと与論島に移住し、15年が経ちました。
与論島は離島で、医療も本土と比べると、遅れていると最初は感じました。小さな島にしては、設備が整っていますが、それでもまだまだ足りません。お医者さんも少ないです。
それでも、島にある設備と人間だけで医療を行わないといけないので、逆に勉強にもなります。
台風などの自然災害によって、薬が島に届かない事もよくあります。そんなとき、どうするかが島の医療のみせどころ。
与論島の病院には霊安室がありません。なぜなら、与論島では、最期は病院ではなく、自宅で迎えるという風習があるからです。
この風習もわたしが与論島を好きになった理由の1つです。
最期は人間らしく、自宅で終わりたいというのは、与論島以外の地域のひとでも、みんな思うことだと思うので。それを当たり前のように出来る事がすごいと感じました。
こんな風に、陸続きでは出来ない経験もたくさん行えます。
海もとてもキレイで、落ち込んだりするとすぐに海に行って、ぼーっとすることも出来ます。
島の人も、とてもフレンドリーです。
他の島ではこうはいきません。どうしても、現地の人と観光客の壁ができるのですが、与論島はその壁を感じないのが魅力です。そのおかげで、リピーターさんがものすごく多い点も特徴です!
一度訪れたら、また帰ってきたくなる与論島に、ぜひ、遊びに来て下さい。
お待ちしています!
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は初めて薬剤師さんにインタビューをして、記事をまとめてみました。
記事を書き終えて、今後も全国各地の薬剤師や、世界の薬局の魅力を伝え続けたいと感じました。
このような機会を与えて下さった、与論島薬剤師はなアンニャーさんに、心より感謝申し上げます。
本記事を通して、少しでも与論島の魅力について知って頂ければ、これ以上、嬉しい事はありません。
これからも、コツコツと様々な記事を更新していきます!
それでは、また!
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参考サイト
本記事を執筆するにあたり、以下のサイトを参考にさせて頂きました。