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ロボット薬局とは?梅田薬局の代表に直接インタビュー!

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今回はロボット薬局に関する仕組みや特徴、メリットやデメリット、そして代表者へのインタビューを紹介します!

いつかは薬局の自動化、無人化、ロボットが医療業界に関わってくるだろうと思っていましたが、自分から物事を取材をしないとわからないと考えて、ITを取り入れている薬局の現場まで見学に行ってきました!

本記事では少しでもロボット薬局に関しての取り組みを知って頂ければ幸いです。それでは、いきましょう!

以下、目次となります。 

目次

 

ロボット薬局を運営する、株式会社メディカルユアーズとは?

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より長く、より価値ある健康を。「挑戦。変革。創造。」を形にして、日本初の「スマート調剤室」ロボットとICT(Information and Communication Technology)を活用した自動調剤技術を開発・成功させたのが株式会社メディカルユアーズです。

メディカルユアーズは現在、大阪や兵庫で地域密着型の調剤薬局を運営されています。

より詳しい情報は以下です。

会社名 株式会社メディカルユアーズ
代表者 渡部 正之
創業 2011年
従業員数 73名
店舗数 9店舗(2020年12月現在)
事業内容 ・保険調剤薬局の経営
・自動調剤技術の研究開発
・医療コンサルタント業
・医師の開業支援
・医療モールの企画開発
・企業のコンサルティング
会社HP https://www.medicalyours.com/

 

ロボット薬局の特徴

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本項では、IT技術を取り入れた、株式会社メディカルユアーズの薬局の特徴3つを紹介していきます!

①:ICTと連動!クリニックとの導線をスムーズにした次世代の薬局

梅田薬局は医療モール内でICTの一種である医療情報連携基盤(EHR:エレクトリック・ヘルス・レコード)を導入しています。

これは、クリニックで出力した情報をクラウド上で暗号化して、薬局へ一気通貫のデータをやりとり出来るシステムです。

医師が入力をした内容だけでなく、疾患名から血液検査の数値まで共有される内容には驚きました。

もちろん、患者様への同意を得ることを条件として、厚生労働省厚生局の認可も下りているICTのシステムです。

梅田薬局ではクリニックとのスムーズな連携を実践して、対人業務である服薬指導の充実や患者さんの待ち時間軽減を可能にしています。

ロボットとICTを連動させることで簡単な処方であれば患者さんが薬局に来局するまでに、薬が用意できます。疑義照会すらも先に出来、薬剤師が対人業務に専念が出来る効率的なシステムを導入している事がわかりました。

この医療情報連携基盤を医療モール全体で共有したのは梅田薬局が日本で初めてです。

 

②:ドイツ製の自動入庫払出装置を日本向けに開発設置した薬局

「自動入庫払出装置は、海外で広く普及している箱出し用の調剤ロボットです。しかし、日本は世界で唯一計数調剤を行っている国です。そのために、1錠単位で在庫管理ができないこのロボットは長い間導入されませんでした。」

と、メディカルユアーズの渡部さんは言います。

渡部さんは日本の薬局がこれ以上世界から遅れを取らないように、日本仕様の自動入庫払出装置の開発に挑戦することを決意しました。

海外へ実際に視察をして、どうすれば日本の薬局でも使えるようにできるのかトライ&エラーを繰り返して開発に成功したそうです。

また、日本は地震大国である事もあり、地震に備えた耐震テストも実施しました。さらに、今後は自動入庫払出装置の高さと大きさも、日本の薬局に合わせたサイズに開発することも考えているそうです。

機械よる自動入庫払い出しを見学してみると、以下の特徴がある事がわかりました。

  • 薬の払い出しを自動化する事で取り違えの調剤ミスを減らす
  • 薬の入庫と在庫整理の手間を省ける
  • 薬の場所を探す手間を省ける

特に面白いと感じたのは、ロボットが使用する頻度に合わせてストックする薬の位置が変わる仕掛けであった事です。

例えば、ロキソニンとムコスタが良く一緒に処方されると近い場所に置いて効率的な薬の取り方を自動的にサポートしてくれます。

AIとまではいかないものの、人間が本来実施する無駄な動作をロボットが置き換えて運用してくれます!

 

③:日本初の自動薬剤受取機を設置している薬局 

梅田薬局は日本初の自動薬剤受取機を設置している薬局として、注目を集めました。

自動薬剤受取機は現在世界で3台のみ導入されていて、無人化はコンビニなどでも試行されているシステムです。

利用の流れは、先ず薬局で薬を受け取るための引き換えコードを貰います。

そちらにQRが添付されているので、後は自動薬剤受取機にかざすだけでOKです。使用するとロボットが作動して自動販売機のように指定のお薬が受け取り口から出てきます。

実際に体験をさせてもらいましたが、QRコードを通してから直ぐに作動して、20秒以内に薬を受け取る事が出来ました! 

 

ロボット薬局の仕組み・利用の流れ

実際に梅田薬局の処方箋の受け付けから薬剤師の服薬指導、ロボットの動きや流れを説明していきます。

 順序 内容 実施者
1 患者さんから処方箋を受け付けると同時に処方内容の監査を実施 薬剤師
2 対面による服薬指導を実施 薬剤師
3 処方箋の内容に沿って必要な医薬品を箱単位で払いだす ロボット
4 計数調剤など 事務員
5 時間がない、まだ薬が出来ていない場合には自動薬剤受取機で受け取るためにQRコードを発行する 薬剤師
6 残った薬剤の箱に新しいバーコードを貼り、ロボットが棚に自動で戻す 事務員、ロボット
7 自動薬品受取で好きな時に薬品を受け取る 患者、ロボット

一般的な薬局と異なる点は、順序2の対面による服薬指導を薬剤師が直ぐに実施しているところです。

また、現地に行くと薬剤師が調剤室の中に籠っていなかった点も面白かったです。

他の薬局では、医療事務さんが処方箋を受け取るために受付にいる事が多いのですが、薬剤師が受付に立ち、直ぐに患者さん会話やデータの把握が出来る、梅田薬局ならではの配置だと感じました。

 

ロボット薬局のメリット

本項では、ロボット薬局のメリットについて、詳しく解説していきます。

①:利用者による待ち時間短縮 

患者さんに対して、待ち時間が短縮出来るメリットが挙げられます。

待ち時間を数値にすると、全国の待ち時間が約12分であるのに対して梅田薬局ではロボットとICT併用例では平均2分53秒と驚異的なスピードで薬を提供出来る事もわかっています。

約10秒ほどで薬品の箱が正確に出てくる自動化の機械のため、大幅なスピードアップが可能です。

 

②:時間外の医薬品受取り

梅田薬局は、無人でも薬を受け取れるシステムを導入しています。

そのため、忙しいビジネスパーソンにも手軽に利用できるメリットが挙げられますし、また無人化は医療現場にも人件費を削減した取り組みとして期待されます。

今後は時間外の医薬品受取りは人気の駅やビジネス街での導入が当たり前になるかもしれません。

その他にも自動薬剤受取機はコロナ禍によるソーシャルディスタンスなどの感染予防に関しても大きなアドバンテージを持つシステムと言えるでしょう。

 

③:アクシデント0件の安全性

従来の薬剤師は調剤と監査でダブルチェックをして限りなくミスをゼロにする努力をしてきました。

しかし、人が作業をする行為には安全性が100%担保される訳ではないです。

ですが、ICTを駆使した梅田薬局では調剤によるアクシデントが0件であり、ロボットではそれが可能である事が証明されつつあります。

例えばアクシデントについてメディカルユアーズが運営をするりんご薬局と比較したデータが出ています。

りんご薬局では応需した全処方箋6万3316枚のうち、アクシデントは12件(0.02%)一方でロボット薬局の梅田薬局では処方箋2万688枚のうち、0件でした。

人はミスをする生き物ですが、ロボットはミスを起こさないその精密さが伺える結果となりました。

 

④:薬剤師が対人業務に専念出来る

クリニック内のデータを薬局に共有したり、患者さんが来る前に処方箋の内容がわかることで、薬局の薬剤師がいち早く情報を把握出来、対人業務の質向上へ寄与する事が可能です。

投薬と同時に服薬指導を実施する一般的な調剤薬局とは異なり、先に服薬指導を実施してから薬を渡すことが出来ます。

また、疑義照会の導線もスムーズに行える点もメリットです!

 

⑤:棚卸しの簡易化 

梅田薬局では、ワンクリックで医薬品の棚卸しが完了します。

有効期限が短い薬のリスト化を自動で行っているので、在庫管理も楽になり廃棄のコストも少なく済みます。

今まで棚卸しの日が苦痛で仕方なかった薬剤師もいると思いますが、機械化を進めれば棚卸しにかける人件費や労働時間を極力少なく出来るので、従業員にも優しいシステムになっている事がわかりました。

 

ロボット薬局のデメリット

メリットの裏には必ずデメリットがあります。本項では、ロボット薬局のデメリットについて詳しく説明していきます。

①:ある程度のスペースがないと機器が設置出来ない可能性がある

薬局に自動化の機器を入れるスペースがないと、現状導入は難しいようです。

また、導入する薬局は処方量が多い店舗である事も必要ですが、調剤室のスペースの確保や広い薬局にするための土地代も考えなくてはいけません。

これらを打開するために、現在メディカルユアーズでは自動入庫払出装置の小型化の開発に取り組んでいます。

個人のパパママ薬局にも1台自動化の機器を導入する時代が来るかもしれません。

 

②:医薬品全ての剤型に対応している訳ではない

自動入庫払出装置は全ての剤型に適応している訳ではありません。つまり、薬局内の医薬品全てを自動でピッキング出来ない点は注意すべきでしょう。

具体的には

  • 湿布薬
  • 経腸栄養剤

などの、箱が大きかったり重たい一部の医薬品は入庫できません。

 

③:初期投資は必要になる

自動入庫払出装置を導入するためにはある程度まとまったお金が必要になっていきます。渡部さんにお話を伺うと1台当たり定価は3000万円。

この金額は小規模な薬局ほど検討を見送る可能性があると言えます。

しかし、渡部さんは3年以内でペイ出来る計算でしっかりと損益分岐の目安を考えていたので、確かに初期コストは掛かってしまう問題はありますが、これから薬剤師の人件費を考えるのであれば、十分に導入を検討する余地があります。

 

ロボット薬局の代表の想い

「完全自動調剤技術を備えた実店舗型ロボット薬局が日本に存在するという事実は、アマゾン薬局の上陸に対する布石として極めて重要な意味を持つはずです。」

「2022年の電子処方箋解禁までに計数調剤も自動化した完全自動調剤システムを完成させたい。」

「薬剤師の対物業務をなくし、対人業務の場を提供する」

と、意気込みを語っていただきました。

これまでの薬局は処方箋の受け取り、調剤、監査のステップを踏む事が当たり前とされていました。

しかし、薬剤師は複雑な調剤に時間を取られてしまい、待ち時間に対するクレームの対応など、本来薬剤師が行わなくても良い事まで時間を充てることが多かったです。

「日本にAmazon薬局が入ってくるという脅威を、日本の薬剤師はもっと自分事として考える必要がある」

と、渡部さんは誰よりも日本の未来を考えて、時に非難を浴びながらもITと薬局の可能性を考えています。

安全な医療を提供するという薬剤師の定めをしっかりと見据えて、今日も渡部さんはロボットと共存する薬局作りをしています。

 

ロボット薬局の代表に質問してみた

どんな薬剤師が今後必要になってくると思いますか?

 

Amazon薬局の脅威をどう感じていますか?

 

株式会社メディカルユアーズではどんな薬剤師を求めていますか?

 

まとめ

ロボット薬局に期待をしている、現場の薬剤師は多いです。

私もその1人ですし、今後はITと共存をする薬局が生き残ると、見学を通して感じる事が出来ました。

日本の医療だけでなく、海外の薬局、医療についての知識を吸収し、良い部分を取り入れて、日本の医療を進化させる。そして、日本の薬剤師業界を発展させるために動いている会社を知ることができて、とても感動しました。

渡部さん。忙しい中、お時間を取って頂き、誠にありがとうございました。

それでは、また!

 

参考資料

本記事の執筆にあたり、以下を参考にいたしました。

株式会社メディカルユアーズ|兵庫・大阪のロボット薬局はメディカルユアーズ

日本初「ロボット薬局」誕生 営業時間外も処方薬お渡し:朝日新聞デジタル

【梅田薬局の成果報告】ロボット化で調剤ミスなし‐待ち時間も3分の1に|薬事日報ウェブサイト