チェーン展開する調剤薬局は全国にいくつもありますが、なかでも近頃勢いを増してきているのが「なの花薬局」です。
2019年の「調剤薬局の大手ランキング」では、運営元となるメディカルシステムネットワークのランキングは8位でしたが、2021年には4位まで上昇しています。
今回は、なの花薬局の年収や福利厚生、評判などについて現役薬剤師が詳しく紹介します。
なの花薬局とは?
なの花薬局は本社を札幌に置き、全国に438店舗を展開する大手の調剤薬局です。
4,654名の従業員を抱え、そのうち1,880人は薬剤師が在籍しています(2022年時点)。
なの花薬局は、単なる調剤薬局としてではなく地域のよりどころになるような薬局作りを目指していることが大きな特徴です。
①:株式会社メディカルシステムネットワークグループの調剤薬局
なの花薬局は、給食事業や治験施設支援など幅広い事業を手がける「株式会社メディカルシステムネットワーク」が運営しています。
商号 | 株式会社メディカルシステムネットワーク |
---|---|
設立 | 1999年9月16日 |
代表者 | 田尻 稲雄 |
資本金 | 2,128百万円(2022年3月31日時点) |
売上高 | 1,066億(2022年3月期) |
事業内容 | 医薬品ネットワーク事業、地域薬局事業、医薬品製造販売事業、 デジタルシフト事業、賃貸・設備関連事業、給食事業、訪問看護事業 |
②:「まちのあかり」となれる存在を目指している
地域住民の健やかな暮らしをサポートする「まちのあかり」となることが、なの花薬局の理念の一つです。
最期を迎える場所として自宅を挙げる方がもっとも多い一方で、実際に最期を迎える場所のほとんどは医療機関となっています。
なの花薬局は、そのような方も含めていつまでも住み慣れた場所で過ごせるようなサポートを積極的に行っています。
③:薬から日々の生活までトータルでサポート
なの花薬局は、薬のことだけでなく日々の生活習慣まで見ながら健康管理を行っている薬局です。
在宅医療も積極的に進めており、外出が困難な方やうまく薬を服用できない方、食事や睡眠に不安がある方でも個々に合った治療ができるようサポートを行っています。
④:ポリファーマシーの是正に力を入れている
ポリファーマシーとは、複数の薬を使うことで起こりうる副作用や有害事象などのことです。
厚生労働省によると、75歳以上の25%が7種類以上、40%が5種類以上の薬を処方されているといわれています。なの花薬局は、ポリファーマシーを是正するために処方変更や減薬の提案を行っています。
⑤:服薬指導で終わらない手厚いフォローを行っている
電話やスマートフォンの通話機能を利用し、自宅に帰った後もしっかり薬を飲めているか、困っていることはないかなどのフォローを行っています。
服薬指導を行ったら終わりではなく、その後のフォローまで力を入れていることが特徴です。
⑥:未病や予防への取り組みも行っている
薬局が調剤をするのは当たり前かもしれませんが、未病に対しての取り組みを行っているところはまだ少ないのではないでしょうか。
なの花薬局では、病気ではないけど調子が悪いと感じる方に向けて、管理栄養士による食事のアドバイスや運動フェアの実施、OTC医薬品の提案などを行っています。
なの花薬局の年収や福利厚生は?
実際に勤務するうえで重要なのが、年収や福利厚生でしょう。
どんなにやりがいがある仕事ができても、それに見合った給料が貰えなければ苦痛に感じてしまいます。
ここでは、新卒採用の場合にどれくらいの年収が貰えるのかを見ていきましょう。
①:なの花薬局の年収
なの花薬局の給与は、3つの勤務区分のどれを選ぶかで変わってきます。
基本給 | 薬剤師手当 | 広域勤務手当 | 月額合計 | 予想年収 | |
---|---|---|---|---|---|
自宅通勤 | 206,000円 | 50,000円 | なし | 256,000円 | 409万6千円 |
広域勤務(エリア) | 同上 | 同上 | 50,000円 | 306,000円 | 489万6千円 |
広域勤務(全国) | 同上 | 同上 | 100,000円 | 356,000円 | 569万6千円 |
自宅通勤勤務は自宅で通える範囲、広域勤務(エリア対象)は希望エリア内で転居を伴う異動あり、広域勤務(全国対象)は転居を伴う全国への異動ありとなっています。
広域勤務(エリア対象)の場合、東京や神奈川などの首都圏配属になると20,000円が手当として支給されるほか、該当地域に配属になった場合は別途地域手当も貰うことが可能です。
年収が公表されていなかったため、今回はそれぞれの合計月額給与の12か月分にボーナス4か月分をたして計算しました。
全国対象の広域勤務だと調剤薬局としては高い年収が貰えますが、自宅通勤勤務の場合は相場よりやや低い印象です。
ちなみに転勤による引っ越し費用は、なの花薬局が全額負担してくれます。広域勤務のエリア対象なら年に1回50,000円、全国対象なら70,000円を年に2回まで帰省旅費を受け取ることも可能です。
②:なの花薬局の福利厚生
なの花薬局の福利厚生には、次のようなものがあります。
- 退職金制度
- 従業員持株会
- 育児短時間勤務制度
- 借上社宅制度(広域勤務のみ)
- 研修保養施設
- 永年勤続表彰
- 選択型福利厚生サービス
- 社内サークル制度
- 団体総合生活保険制度
- インフルエンザ予防接種補助
- 住宅補助(対象エリアで一人暮らしをする薬剤師を対象に入社後5年間支給)
広域勤務のみとはなりますが、借上社宅制度があるのは嬉しいポイントです。個人で家賃を一切負担することなく会社が契約した社宅に住むことができます。
全国対象の広域勤務の場合は、このほか奨学金返済サポートも用意があり、充実した福利厚生が整っているといえるでしょう。
③:薬剤師の教育制度にも力を入れている
薬剤師が勉強しやすい環境を整えることにも力を入れています。教育制度として次のものが用意されているため、働きながらむりなく知識を身につけていけます。
- 新人研修
- フォローアップ研修
- 新人教育共通プログラム
- e-ラーニング
- 管理薬剤師研修
- 薬局長研修
- ブロック長研修
- CP Step制度(社内認定制度)
- なの花フォーラム(社内学会)
- なの花アカデミー(臨床研究)
これらとは別に、中途で入った方のために中途入社向け研修も用意されています。
なの花薬局の良い評判は?現役薬剤師が語る!
では、実際になの花薬局で働いていた方の評判を見ていきましょう。まずは、良い評判について紹介します。
①:デジタル化を積極的に取り入れており働きやすい
業務効率化のためなら、すぐにデジタル対応をしてくれるのは嬉しい点です。
ムダな作業を減らし、効率的に働けるよう会社全体として動いているのでとても働きやすいと感じます。
最近ではLINEアカウントもでき、LINE上から処方箋の送信や薬歴の確認、薬の相談までできるようになりました。
②:残業はほとんどなくママ薬剤師でも働きやすい
店舗による部分もあるかと思いますが、残業はほとんどありません。
全員が定時になったらすぐに帰れているため、育児短時間勤務をしていても「自分だけ残業しないで帰って申し訳ないな」と感じることもなく、すぐに帰れます。
③:休みが取りやすく急な用事もヘルプの方が入ってくれる
女性が多く働いているのもあり、産休や育休は気兼ねなく取れます。
子供が急に体調を崩しても代わりに入ってくれるスタッフがすぐ見つかるので子供がいても安心です。
自店だけでなく他店からもヘルプが来てくれるため、一緒に働いている薬剤師に大きな負担がかかることもないと思います。
いざというときはブロック長が駆けつけてくれたこともあり、みんなで助け合って店舗を回していける体制が整っているのは大きいです
④:住宅手当や資格補助などが貰える
最近では貰えるところがどんどん減っていますが、勤務場所によっては住宅手当が貰えます。
一人暮らしをしている間しか貰えませんが、入社から5年間は補助が出るので奨学金を返しながらの生活でも安心です。
⑤:研修制度が充実しているのでブランクがあっても働きやすい
転職や子育てなどでブランクが生じても、しっかりと研修制度が用意されているので安心して働けます。調剤の実践的な研修から知識のフォローまで体制はばっちりです。
ブランクがある方でも自信をもって現場に出て働けるようになります。
なの花薬局の悪い評判は?現役薬剤師が語る!
では次に、悪い評判について見てみましょう。
①:店舗によっては人間関係にいざこざがある場合も
店舗によっては事務さんとの仲が悪く、どんよりとした雰囲気のところもあるようです。
事務さんと仲が悪くなるというのはよくある話ではありますが、あまりに雰囲気が悪く異動願いを出した薬剤師もいます。
②:かかりつけ算定のノルマがある
かかりつけを何人取れるか、ノルマを課されます。
達成できなかったからといって何か言われたり罰を受けたりするわけではありませんが、ノルマがあること自体に嫌だと感じてる薬剤師は何人かいるようです。
地域に密着した薬局作りのためだとは思いますが、むりにかかりつけを取るのはなんだか違うような気もします。
③:異動の希望を出してもすぐには通らない
大手の調剤薬局なので、違う科目の処方箋を扱いたい、人間関係で気になることがあるから異動したいなど、希望次第で異動も可能です。
ただし、異動したといってすぐに上が動いてくれるわけではなく、数か月かかることもあります。
④:1人の薬剤師に負担が集中してしまうことがある
人手不足の店舗に配属されると大変です。パートも在宅医療をさせられることがあり、時間通りに帰れるのか不安になることがあります。
処方箋の量に見合わない薬剤師しか配置していない店舗では、毎晩のように夜遅くまで残業しているところもあると聞きました。
⑤:転勤OKにしないと給与面での待遇はそこまでよくない
全国転勤OKとしとかないと、そこまで給与はよくありません。むしろほかの調剤薬局と比べると低いです。
転勤OKの人だけ手厚い待遇が用意されていることから、会社は必要なときにどこでも働いてくれる薬剤師が欲しいのでしょう。
結婚していたり持ち家があったりする方は転勤が厳しいので少ない給料で働かざるを得ません。
なの花薬局に転職したい人におすすめのサイト!
①:マイナビ薬剤師
マイナビ薬剤師は、はじめて転職をする際に利用したい薬剤師向けのサイトです。
専門のコンサルタントが、自己分析をしっかりとヒアリング時にしてくれる点が良かったです。
他にも、マイナビ薬剤師は長所と短所を客観的に伝えてくれることで、自分に合った職場を一緒に探してくれました。
薬剤師職だけでなく一般企業にも転職が出来るため、マイナビ薬剤師はパラレルキャリアを目指したり、Wワークを探す時にも重宝したいサイトとなっています。
②:ファルマスタッフ
日本調剤系列で運営をしていて、質の高いコンサルタントが在籍をしている転職サイトがファルマスタッフです。
実際に利用をしてみると、キャリアコンサルタントの方が業界に非常に詳しいので、今後の薬局業界を把握することが出来た点が良かったです。
業界の未来を知ることでどんな薬剤師像になれば良いか確認をして、その環境が用意している職場提案をファルマスタッフがしてくれます。
病院勤務の薬剤師であったり、ドラッグストアから調剤薬局に転職を考える若手薬剤師におすすめなサイトとなっています。
③:薬キャリ
薬キャリは、都心だけでなく地方の求人に対しても提案可能な転職サイトで、圧倒的な提案のスピード力が魅力です。
電話1本ですぐに近場の求人を教えてくれるので急いで転職を考えてる薬剤師にはマッチしているでしょう。
全国どこでもOKな働き方をする方にも派遣薬剤師の案件も紹介する事ができるので、高い時給で貯金をしたい薬剤師には向いている転職サイトとなっています。
まとめ
なの花薬局は各種手当てが充実しており、勤務区分によっては奨学金返済のサポートも受けられます。住宅補助もあるため、生活費を少しでも抑えながら働きたい方にもおすすめです。
一方で店舗によっては人手がたりていなかったり、ノルマがあったりすることもあるようです。
「なの花薬局が気になっているけど、できれば良い条件で働きたい」と思っている方は、転職サイトをうまく活用して自分に合った店舗を見つけてみてください。
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