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健康サポート薬局とは?現役薬剤師が語る!

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今回は、健康サポート薬局について、その業務内容や役割を詳しく解説していきます!

かかりつけ薬局との違いについても説明するため、その点も含めてぜひ参考にしていただければ幸いです!

以下、目次となります。

目次

 

健康サポート薬局とは?概要を説明!

健康サポート薬局とは2016年から開始された、厚生労働大臣が定める一定基準を満たしている薬局です。

かかりつけ薬剤師・薬局の機能に加えて、市販薬や健康食品に関する事や、介護や食事・栄養摂取に関する内容まで幅広い健康相談が出来る薬局として定義されています。(参考:健康サポート薬局とは? | 日本薬剤師会

薬局は以前より患者本位の医薬分業になっていない事や、そこに見合うサービスを提供出来ていないという問題がありました。

そのため「国民が、医薬分業のメリットを感じるようにするためにはどうすればいいのか?」という観点から、以下が提唱されました

  • 気軽に立ち寄れる薬局や薬剤師がいる事
  • 地域ケアシステムの中で包括的に地域の患者をフォロー出来る薬局を続ける事

上記が健康サポート薬局の起源であり、将来的にも、かかりつけ薬剤師の役割が発揮出来ることを目標としています。

下記は都道府県別の健康サポート薬局数のトップ10です。

表1:都道府県別に見た健康サポート薬局の数

 順位 都道府県 健康サポート薬局の数
1位 東京都 250
2位 大阪府 217
3位 神奈川県 130
4位 埼玉県 127
5位 北海道 107
6位 福岡県 89
7位 茨城県 81
8位 千葉県 76
9位 愛知県 63
10位 広島県 54

2016年健康サポート薬局が設立してからは徐々にその数が増えていますが、厚生労働省の資料(https://www.mhlw.go.jp/content/000711178.pdf)を参考にすると、令和2年9月30日時点で、全国にまだ2247件となっています。

より詳しく見ると、関東方面や都心に多い事もわかりました。

しかし、まだ展開は発展途中であり、全国に約6万件ある薬局と比べると健康サポート薬局少ない事がわかります。

申請や要件のハードルが高い事や、経済的にまだ効果がない事がスピードを鈍化させている要因となっています。

そのため、健康サポート薬局の仕組みが運用していけるように国や自治体、その他の医療関係者が一体となる事が期待されています。

次に健康サポート薬局表示までの簡単な流れを説明します。

  1. 健康サポート薬局の届出に関する事前相談の実施(薬局から管轄の保健所へ)
  2. 健康サポート薬局の届出に関する変更届書の提出(薬局から管轄の保健所へ)
  3. 健康サポート薬局に表示
  4. 薬局機能情報提供制度に基づく県への報告(薬局から県庁へ)

見事、上記基準を満たせば薬局は「健康サポート薬局」の表記を行う事が出来ます。 

 

健康サポート薬局の在り方・業務について

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本項では、健康サポート薬局の在り方や業務について、具体的に解説していきます。

①:かかりつけ薬局としての機能を有している

健康サポート薬局は、かかりつけ薬局の機能を有している事が前提になります。

地域を中心に患者が受診をする医療機関や、市販の薬、サプリメントなど情報の一元的な把握をしている事が必要です。

また、立地で患者が選択するだけでなく、あの薬剤師がいるから指定の薬局に行こう!そう感じるような姿勢が必要です。

かかりつけ薬局として実践する内容は以下となります。

  • 患者の残薬管理
  • 患者に対しての継続的な服薬フォロー
  • 患者に対しての副作用の把握
  • 複数お薬手帳を持参されている方に対しての集約化
  • 閉店時間外における相談体制の実施
  • 在宅患者への薬学的管理及び指導
  • 医療機関に対しての副作用情報の提案、処方提案
  • 地域住民に対しての健康相談やセルフメディケーションの推進、必要な場合は医療機関への受診提案
  • 地域包括ケアの役割を担う機関における多職種と連携体制の構築

以上のように薬局内で完結するだけでなく、周りの医療機関や施設と連携をしながら患者中心の医療を提供する役割を担うのが、健康サポート薬局における在り方の1つと言えます。

 

②:地域密着でかかりつけ医と連携を行う

地域で活躍をしているクリニックと連携した取り組みを行うのも、健康サポート薬局の役割の1つです。

また、門前のクリニックだけでなく、患者が健康相談として薬局に来た場合に、必要に応じた受診勧奨を実施する事も大切です。

さらに、薬剤師は周りのクリニックへ挨拶回りをしたり、定期的なコミュニケーションをとりながらいつでも連携出来る仕組みを構築していく必要もあります。

具体的に以下の団体やイベントをチェックして連携するのがポイントです!

  • 地域の医師会
  • 医師会が実施する健康増進保持のための事業イベント
  • 行政関連の健康フェア

 

③:要指導医薬品の取扱い

健康サポート薬局は要指導医薬品を扱うことが出来る、環境整備が必要になります。

要指導医薬品とは、薬剤師が対面・書面にて説明を実施する事が義務付けられている医薬品です。また、インターネットでは販売出来ない事や、すぐに手が届かない場所に陳列をするなど、一定の規制があるなどの特徴があります。

要指導医薬品を陳列をするスペースを考えたり、書類の保管先などを準備するなどの手間がかかるので、薬局によっても実施しないところもあるのが事実です。

しかし、要指導医薬品の充実と整備を行わなければ、健康サポート薬局の役割を果たしていないと判断されてしまうので注意しましょう。

ちなみに私が勤務をする個人薬局では、陳列スペースの確保が難しく、断念しています。

 

④:衛生材料及び介護用品の取扱い

健康サポート薬局は、国民の高齢化を背景に、外に出かける事が出来ない患者をサポートする役割を重視する傾向があります。

そのため、要指導医薬品だけでなく、衛生材料や介護用品を選定して、充実させる機能を有しなければいけません。

絆創膏やガーゼ、サポーターなど様々な需要に対応する必要があります。

 

⑤:開店時間の設定

健康サポート薬局開局の要件として、連続して平日の営業日を確保する必要があります。

具体的には午前8時から午後7時までの時間帯で8時間以上が望ましいとされています。

加えて、土曜日または日曜日のいずれかの曜日に一定時間開店をしていることが健康サポート薬局の在り方です。

開店時間の設定は地域住民が困った時など、薬剤師がいつでも身近に感じてもらう事を重要視しています。

管理薬剤師は勤務時間が長くなる事もありますが、全ては地域に根ざした薬局にするためです。

 

⑥:健康相談を実施している薬局である事

薬局は薬を渡す場所である。このような概念は過去であり、現在は健康相談の窓口として注目を集めています。その取り組みをしているのが健康サポート薬局です。

例えば、週末に健康相談のイベントを主体的に開いて、認知症の知識や糖尿病教室など予防の観点から薬学に関する内容を地域の住民に伝える取り組みなどが挙げられます。

薬に関わる事でなくても、メンタルケアや栄養を絡めた相談を受ける事で、多職種との連携に繋がる取り組みも行っています。 

 

健康サポート薬局とかかりつけ薬局の違いは?

健康サポート薬局はかかりつけ薬局の機能に加えて、薬以外の健康相談を実施出来る機能を有した薬局になります。

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健康サポート薬局とかかりつけ薬局の比較表を、下記に示します。

  健康サポート薬局 かかりつけ薬局
設備 プライバシーの配慮 プライバシーの配慮
開局時間 平日連続した開局、土日いずれかの営業 規定なし
時間外対応 ・開局時間外の応需、受付
・休日及び夜間の相談受付
・24時間患者と連絡が取れる体制
販売体制 ・要指導医薬品
・衛生用品や介護用品
・衛生用品や介護用品はなくてもよい
薬剤師 かかりつけ薬剤師が1⼈以上 ・保険薬剤師として3年以上勤務経験がある
・当該保険薬局に週32時間以上勤務している
・当該保険薬局に継続して1年以上在籍している
研修 ・健康サポート研修を修了して5年の実務経験を有する薬剤師の常駐 ・薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定制度等の研修認定を取得していること
実績 ・在宅医療の実績
・健康サポートの取組み実績
・医療に係る地域活動の取組に参画していること

以下、より詳細に説明していきます。

①:開局時間の有無

健康サポート薬局は開局する時間が決まっていますが、かかりつけ薬局では特に規定がありません。

一般的な薬局は木曜日の午後がお休みであったり、土曜日の午後と日曜日を閉めるなどして運営をしていますが、健康サポート薬局に認定されるためには月曜日から金曜日まで連続をした開局と、土日いずれかの営業をする必要があります。

健康サポート薬局は、患者さんが立ち寄りやすい仕組みになっています。

 

②:販売をする商品の違い

健康サポート薬局は要指導医薬品や衛生用品、介護用品など総合的な医療アイテムを扱います。

しかし、かかりつけ薬局はそれらが必須ではありません。もちろん用意をして薬局に陳列しても良いのですが、あくまでもかかりつけ薬剤師が在籍する薬局である事が重視されます。

 

③:健康相談を主体的に実施しているかどうか

薬だけに特化をして患者へアドバイスを実施するのが、かかりつけ薬局です。

しかし、健康サポート薬局は医薬品情報の一元化だけでなく、栄養面からサプリメントの提案、他科への診察を勧めたりと総合的なサポートをする違いがあります。

患者からも生活面に対しての悩みであったり、介護関連の手続きや施設の選択など様々な問題を投げられる事があるので、健康サポート薬局の薬剤師は地域の医療機関の協力を得て、1つ1つ解決する事が求められます。

 

まとめ

ここまで読んで頂きまして、ありがとうございます!

健康サポート薬局は、地域のために薬剤師が多職種とコニュニケーションをする事、患者さんから相談をしやすく、立ち寄りやすい仕掛けになっている事がわかりました。

かかりつけ薬局との違いも薬だけでなく、栄養面から介護まで幅広いケアを実施する事が必須です。

この記事で健康サポート薬局の理解と薬剤師の取り組みを知って頂けたら嬉しいです!

今回はこの辺で!それでは、また!

 

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