今回は薬局と本屋を掛け合わせた、ページ薬局について詳しく説明します。
実際に現役薬剤師である私が、代表へのインタビューも行ってますので、ぜひ楽しんでいただければ幸いです!
以下、目次となります。
ページ薬局とは?
ページ薬局は「普段本屋にいかない人にも、薬局に本を置くことで偶然の出会いを提供する」をコンセプトにした、大阪豊中市に位置する保険調剤薬局です。
薬局内には約1000冊の本を用意して利用者を迎え入れ、気軽に立ち寄ってもらえる環境を整えています。
常務取締役、瀬迫さんは「薬剤師だけれど本に関わる仕事がしたい」、「本屋さんが減ってほしくない」という想いをキッカケに、薬局×本屋という夢を実現しました。
オープン後は数多くのメディアにも取材され、地域に溶け込んだ新たなカタチの薬局となりました!
今回は直接現場にお邪魔をして、代表の想いやページ薬局について語ります。それでは、いきましょう!
ページ薬局(薬局×本屋)の特徴!
本項では、ページ薬局が持つ特徴について詳しく解説していきます!
①:ありそうでなかった薬局と本屋の掛け算
業界にありそうでなかった事業である、薬局内に本屋が確立したのがページ薬局です。
実際に利用者は本を手に取り、ネットでは体験出来ない中身の確認や、スタッフが書いたPOPを見ます。本のジャンルは偏りがなく、以下の分類が並んでいました。
- 児童向けの絵本
- ビジネス書
- 料理本
- 小説
- 鉄道関連の本
- 音楽や芸能関連の本
- 脳トレなどの学びの本
- 海や山などの自然の本
- スタッフおすすめの本
薬局のついでに本と出会うのか、本屋のついでに薬の相談をするのかは利用者の自由です。
私は待合室に座って気が付きましたが、座った状態で本棚を見上げると、一面にカラフルな背表紙や文字が視界に飛び込んでくるため、薬局ということを忘れてしまうような居心地の良い空間になっていました。
「普段本屋に行かない方でも非日常を楽しめる」そんなコンセプトを垣間見れました。
②:全国紙や地元紙で話題に!認知度が高い調剤薬局
「想定していたよりもスムーズなスタートが出来たと思います」そう語るのは常務取締役の薬剤師、瀬迫さんです。
薬局内を見渡すと、朝日新聞を筆頭に壁には、複数のインタビュー記事が掲載されていました。全国紙から「話題性のある薬局がある」と報道される中で、続々と地元紙にも取り上げて頂けるようになったそうです。
中には新聞や報道を見て、薬局に足を運んでくれた利用者の方もいました。
本屋と薬局の組み合わせは医療業界としても初めての試みなのではないでしょうか。
③:SNSとの掛け算で同業者と横の繋がりを獲得!
純粋にすごいと感じたのは、今の時代に合わせてSNSを展開している点です。(私自身もSNSをキッカケにページ薬局を知りました。)
瀬迫さんはブログの他にも、note、Twitter、Facebookなどあらゆる媒体を駆使して、同業者である薬剤師、薬局の経営者、そして本屋との繋がりを構築しています。
つまり、薬局×本屋というアイデアをポッと考えて、行動された訳ではなく、ページ薬局は昔からコツコツと繋がりを掴み、SNSと掛け算も加わって完成したものだと言えます
その他、ページ薬局では店舗専用のTwitterアカウント(ページ薬局 (@page_pharmacy))も存在しています。
ページ薬局(薬局×本屋)のメリット
ページ薬局には、どのようなメリットがあるのでしょうか!
インタビューを通して分かった様々な利点について、本項では詳しく説明していきます。
①:利用者との会話のきっかけになる
ページ薬局にある本の一部は現場で働く薬剤師や医療事務さんが選出をしたおすすめの本が並びます。
そのため、本をキッカケにして、会話の糸口とすることで、薬剤師から利用者の生活背景を自然と知ることが出来ます。
例えば、毎月来る患者さんを考えてみて下さい。
「そういえば以前に購入して頂いた本はどうでしたか?」、「あの伏線が凄かったですよね!」と、薬剤師と自然にコミュニケーションがとれます。
②:待ち時間を短く感じる
ページ薬局の待合室に座ると、目の前には子供から高齢者まで楽しめる様々なジャンルの本が広がっています。
私はビジネス系の本が好きなので、そちらのコーナーばかりチェックしましたが、1つのコーナーを見るだけでも10分以上かかり、退屈せずに過ごせました。
また、ページ薬局の従業員が作成している手作りのPOPを読んで、本の感想を楽しんだり、実際に手にして冒頭を読んだりと、この場が薬局であることを忘れてしまうほど、時間を気にせず楽しめました。
③:従業員のモチベーションに繋がる
個人的に働く従業員に対してもメリットがあったのは面白い発見でした。
ページ薬局で並ぶ本はそこで働く薬剤師や医療事務さんが、実際に自分の目で選んだものを置いています。
自分が選んだ商品だからこそ、他の人にも紹介をしたいと思いますし、仮に売れたら意欲も湧くでしょう。
また、季節に応じた本の陳列、POPの準備を自らが行う事で、利用者と繋がっていく実感が鮮明に湧き、モチベーションも高まりやすいです。
「自分が選出をして考えた商品が売れる感覚」が身に付くのがページ薬局の大きなメリットですね!
④:薬剤師の採用にもプラスの影響
私がインタビューをして最も興味深かったのが「薬剤師の採用」に対してもプラスの影響を与えている事でした。
実際にページ薬局を開設してから、報道やSNSを通じて薬剤師から採用に関しての連絡が入ったと話を聞きました。
これは「薬局×本屋」の希少性ある環境で働くことに、価値を感じる薬剤師がいるということです。
また、私の見解では、薬局×本屋を作った瀬迫さん自身に興味を持った薬剤師がいたからこそ、採用にもプラスに働いたのではないかと考えます。
ページ薬局(薬局×本屋)の想い
「反対されたとしてもやってみたい」
瀬迫さんはこう語ります。
自身もキャリアに悩んでいた時期に、大学の後輩と1ヶ月で100冊本を読むチャレンジを自分に課したそうです。
そんなことも出来なければ、この先なにをやっても成功をしないと感じていました。
その後、本だけでなく、本から人へと繋がりが生まれる事を体験します。そして、「本に携わる方へ恩返しをしたい」と考えるようになりました。
「本を販売するには?」から始まり、取引業者を必死になって見つけ、出版業界のリアルを少しづつ理解していきます。
一方で、処方箋がなくても薬局に立ち寄ってもらいたい。そんな仕掛けにするためにはどうすればよいのかを考え、ページ薬局を立ち上げる前から、ご縁を大切にして準備をし続けました。
時に周りから非難の声もありましたが、「町の本屋さんが地域の繋がりになる」と信じて、ずっと前から一歩ずつ進んでいきました。
「薬局×本屋」の融合は、「やりたいこと×自分がやれること」から始まった物語です。これからの新たな薬局モデルとして個人的に注目しています。
ページ薬局(薬局×本屋)の代表に質問してみた
瀬迫さんのキャリアを教えて頂けますか?
新卒でMRになり、その後、現在の会社を運営しています。また、薬剤師のダブルワークとしてキャリアコンサルタントとしても活動をしております。
ページ薬局をしてみて、大変だった事はありますか?
本の仕入れですね。前例がないこともありましたが、お付き合いしている書店さんなしでは成り立たなかったと思います。
周りに本屋のライバルはあったのでしょうか?
近所に1つだけ本屋さんがあります。元々、ページ薬局の2つ前のテナントが本屋であったの大きいかもしれません。
本の調達や選定はどうやって行っているのでしょうか?
仕入れは良くして頂いしてる書店さんからです。選定に関しては本に詳しい方と協力をして考えました。現在ではページ薬局の薬剤師や事務さんが選出を考えています。季節に合わせた書籍をスタッフが選んだりもしていますね。
本の配置にも工夫がありますか?
児童向けの本はスタッフが確認出来る投薬台の近くに配置したり、待合の椅子近くにも手に取って読めるような導線を考えました。また、老若男女どなたでも対応出来る空間になっていますね
まとめ
最後まで読んで頂きまして、ありがとうございます!
自分が好きな分野を提供して、薬局×本屋で新しい取り組みをするページ薬局は、利用者だけなく、働く薬剤師やスタッフにもプラスの価値を提供している場所であると感じました!
本記事を通して、少しでも薬局×本屋のページ薬局の存在を知って、薬剤師を目指す方や若手薬剤師の方の新たな気付きになってくれたら嬉しいです!
最後になりますが、おやすみの中、時間を作って頂いた瀬迫さん、誠にありがとうございました!
「たった1ページが人生を変える」それが、瀬迫さんから切に伝わりましたよ!
これからも共に業界を盛り上げていけたら幸いです。
それでは、また!
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