本記事では、オオギ薬局の詳細についてインタビューを交えて詳しく説明します。
零売を始めた経緯なども記載するため、ぜひ参考にしてください。
以下、目次となります。
- 零売とは?概要をかんたんに説明!
- オオギ薬局とは?
- オオギ薬局が零売を始めた理由
- オオギ薬局の特徴
- オオギ薬局の1日スケジュール
- オオギ薬局の今後の展望
- オオギ薬局オーナーから薬剤師・薬学生に一言
- オオギ薬局さまのHP、リンクなど紹介
零売とは?概要をかんたんに説明!
零売(れいばい)という言葉をみなさんは聞いたことがありますか?
大きく薬には2つの種類があります。1つは一般の方がドラッグストアなどで購入することが出来る「一般用医薬品」。
もう1つが医師によって処方される「医療用医薬品」です。
その医療用医薬品ですが、実は処方せんがなくても医薬品が購入できるものがあります。品目数で言うとおよそ半数ほどが該当します。そちらを<処方せんなし>で薬局にて販売することを専門的な用語で零売と呼んでいます。
しかし零売可能な医薬品でも誰もが簡単に販売できる訳ではありません。
零売を行うには様々なルールがあります。
薬局で薬剤師が対面で販売するという規制や、販売記録や広告に関してなど多くの法令上のルールがあります。必要に応じて受診勧告なども含めた適切なアドバイスなど、薬剤師の知識や経験が問われる要素もあります。
近年「零売薬局」とも呼ばれる、零売事業を中心とした薬局も増えています。
医療費の圧迫や薬局事業の多様化、新型コロナウイルスを巡る医療の形の変化なども零売が注目されるポイントになっていると感じます。
オオギ薬局とは?
日本で3番目に、そして関東では初めて処方箋なしで病院の薬を販売する薬局、いわゆる零売薬局を始めたのがオオギ薬局です。
- 病院に行く時間がない方でも医療用の薬を手に出来る
- 薬剤師にしっかりと相談やアドバイスが貰える
- 受診勧奨も含めた適切な対応
オオギ薬局では法令的に販売をしても問題のない薬だけを扱っていて、会員制で一人ずつパーソナルで丁寧な接客を心がけている薬局です。
- 2015年に東京都の三鷹で創業、その後現在の神田に移転。
- 2020年に恵比寿店、2021年に新宿店をオープン。
- 会員登録は共通で、全店舗相互に利用可能。
オオギ薬局が零売を始めた理由
2016年以前から店主の扇柳さんはこれからは「零売が来る」と考えていました。
零売を始めようと考えたキッカケは、新卒で入った調剤併設ドラッグストアでの経験があります。
OTC売り場でお客様から「病院でもらえる薬おいてある?」「急いで薬が欲しくってね」と相談があったことや、処方箋受付しているときには「いつもと同じ薬だから受診せず薬もらえないの?」と聞かれる。
友人からも薬を融通してほしいと言われること、自分自身もなかなか仕事を休んで受診することば難しいという状況で、直接医療用医薬品を、一部でも販売できれば需要は絶対に高いと感じました。
当時は「零売」という言葉はいま以上に認知度が低かったそうです。
そして当時零売を中心とした薬局事業を始めていた新潟県の薬局アットマーク、北海道のくすりやカホンなどに相談をして、零売薬局の独立開業をトライしようと決めました。
処方箋なしので薬の提供、販売はあくまでも救済措置だと言われることもあるのですが、その救済の需要は高いと判断したのです。
オオギ薬局の特徴
本項ではオオギ薬局の特徴について説明していきます。
①:落ち着く空間作り
私はオオギ薬局神田本店を見学させて頂きましたが、オオギ薬局は良い意味で調剤薬局とは思えない落ち着く空間作りをしていました。
「来客者が薬局を身近に感じてもらえるためにどうするべきか?」を考え抜いた結果だと、オーナーの扇柳さんは言います。
特に創業当初は「今までない業態の薬局なので、怪しまれずふらっとでも入れるように相談、利用してもらえるために内装含めて第一印象が勝負だと考えました」とのこと。
ミントグリーンの壁や照明周りの細かなデザイン、観葉植物の設置は薬局薬剤師経験者の私としても非常に学びがある空間だったと感じました。
どこかホッとするような、座ってゆっくり話をしたくなるような場所だと足を運んで感じました。
②:店主の温かい人柄
私が見学をして感銘を受けたのは店主の「おもてなしの心」でした。
開業してからずっと、地域の信頼を得るために、ひた向きに来客者ファーストを心がけています。
現在は何でもネットで繋がれますが、やはり店舗型の商売には、店主の心が宿ると私は感じます。
見学時は患者さん対応をしている扇柳さんの姿を見ることが出来なかったのですが、個人的にもオオギ薬局の患者さん対応を是非チェックしてみたいです。
是非、同業の方も、信頼を重ね続ける店主の姿を確認をしてくれると嬉しいですね!
③:SNSへの積極的な取り組み
Twitter、Instagram、LINEとオオギ薬局の特徴はSNSを積極的に実施しているところだと感じました。
そして2021年現在、東京に3つの店舗を展開していますが、それぞれの店主が個人のSNSアカウントで発信しています。
もちろん薬の情報は広告として法令上NGになる可能性を配慮、教育していますし、ルールに沿った運用をしっかりと考えているなと感じました。
特にTwitterでは顔が見えるアイコンにしていて、薬剤師からのファンも多いです。
「フランチャイズ制をとっていることと、HPやSNSで各店舗の店主の顔を出しているのは、少しでも安心して利用してもらえるようにということと、店主側には責任感をもって、自分の店のことは運営、発信してほしい」とのことからこのような体制になっているとのことです。
各店舗の責任感と連携もSNSを通じて感じるので、是非チェックして見ると良いでしょう!
④:利用者目線の開店時間
オオギ薬局の開業時間は暮らしや人に寄り添った時間帯を意識しています。
例えば、忙しいサラリーマンはお昼の休憩時間や仕事帰りにも寄れるように、駅からも決して遠くない距離に店舗を構えています。
街の悩みに寄り添うように求められる時間帯を考慮しているのかなと感じる事が出来ました。
ちなみにオオギ薬局では11時~14時、15時~19時30分の時間帯で開店しています。
オオギ薬局の1日スケジュール
オオギ薬局、神田本店店長の1日のスケジュールについてインタビューしてみました!
身体がなまってしまうので、ほぼ毎日家から自転車で通勤をしています。
大体は午前9時に起床して10時には店舗に出勤をしています。メールチェックや患者さんからのLINEが来ている事もあるので、マメに返事を返したりしています(ちなみにLINEの返信は平日の夜も実施しているそうです。)
始業時に各店舗ごとで朝礼を開始、仕入れの確認や掃除を実施します。
通常業務は接客や電話対応など、調剤だけでなく色んな対応をして仕事をしていきます。
通常業務は接客が主なところですが、業態的に様々な問い合わせが多く、電話やメールなどの相談が閉める割合もかなり多いとのことです。
営業時間中は全店舗間でのチャットでのやりとりも非常に多く、少しでも困ったことがあれば他店に相談、連携しています。
地域との関係を築くのも1つです。
お昼には薬局周辺で飲食をして地域とコニュニケーションを実施するのも意識しており、周辺のお店のスタッフさんがお客さんとして来店することも非常に多いとのことです。
19時半に閉店をしますが、夜間の予約も少なくありません。
閉店後には販売記録を書いたり、発注、在庫確認。各店舗で売上や相談事の共有をしています。最近は新店舗や今後の構想の打ち合わせが深夜まで及ぶこともあるそうです。
オオギ薬局の今後の展望
オオギ薬局の今後の展望についてインタビューしました!
都内で2024年末までに10店舗を目標に目指しています。
また、薬局業界内での零売立ち位置づくりや啓蒙活動にも力を入れていきたいと考えています。
もちろん従業員のことも考えて会社全体を盛り上がる事、患者様にはもっと零売を活用して欲しいという想いもあります。
零売は薬剤師の1つの武器になるように、そして薬剤師の能力をアピール出来る働き方が出来るような環境作りをしていきたいです。
そして最後に「零売はお客さんからみても、医療提供側としても選択肢の1つとして、出来るとこまでやっていきたい」と述べていたのが印象的でした。
オオギ薬局オーナーから薬剤師・薬学生に一言
オオギ薬局代表から頂いた一言について、以下紹介します!
- 例えば「炎症止め、かゆみ止めを1本くれないか?」の相談があった時に、在庫や利益だけを考えるのではなくて、自分が何を出来るか常に考えましょう。
- 薬剤師であれば小さな事でもチャレンジをして欲しい。
- 飲食などの他業界に比べるとローリスクで恵まれていると思う。
- 零売は医療費削減にも貢献出来ていて、薬剤師のやりがいにも繋がると思います。
「常日頃から仕事でアンテナを張っておく事は大切」という言葉が印象的でした。
オオギ薬局さまのHP、リンクなど紹介
オオギ薬局のホームページは以下になります。
オオギ薬局<処方箋なしで病院の薬が買える薬局>東京(神田・恵比寿・新宿)
また、各店舗の住所は以下です。
①:オオギ薬局神田本店
住所:〒101-0047 東京都千代田区内神田2-8-8 中央ビル1F
②:オオギ薬局恵比寿店
住所:〒150-0011 東京都渋谷区東三丁目24番8号マーサ恵比寿1階
③:オオギ薬局新宿店
住所:〒160-0023 東京都新宿区西新宿7-8-11 美笠ビル101
画像や図はオオギ薬局さまより提供頂きました。
まとめ
零売というキーワードは今後拡大していくと考えています。
これからの薬局はどう対応していくのか?私もオオギ薬局神田本店の店主、扇柳さんと同世代として共に業界を盛り上げて、目の前の人や熱意ある方を支えていけたらと、見学をして感じました。
少しでもこの記事が働き方に悩む薬剤師や薬学生に届いてくれたら嬉しいです。
それでは、また!
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