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DI業務とは?仕事内容や給与について語る!

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今回は、薬剤師のDI業務(Drug Information)について、仕事内容や給与、また業務を行う代表的な職場について説明していきます!

DI業務に興味がある薬剤師の方は、ぜひ一読頂ければ幸いです! 

以下、目次となります。 

目次

 

DI業務とは?

医薬品情報業務(Drug Information)の頭文字をとって、DIと呼ばれています。

薬剤師業界では、薬剤師の仕事の一種を示す言葉の意味もありますが、医薬品の用法用量などの製品情報を指す事もあります。

大規模な病院であったり、大手チェーンの調剤薬局や医薬品卸企業にはDI室、または学術担当の部署が独自に設立しています。

DI室では、その名の通り、医薬品情報に関わる様々な業務を行います。

前職の病院は、DI室を設置していて、入社して3年目の薬剤師から、役職があるベテランまで、4名程度のチームで組織されていました。

日本病院薬剤師会 「医薬品情報業務の進め方2018」によると、薬剤業務の変化によりDI業務は必ずしも、DI担当薬剤師のみで担う業務ではなくなっている旨、そして、病棟担当薬剤師を含む薬剤部全体で取り組む必要もあると明記されています。

前職の病院でも、DI担当の薬剤師は半日を病棟業務に、もう半日をDI業務として兼任している方が多かったです。

DI担当の薬剤師は、地頭が優れている方が多かったですし、国立出身者で、病院の中でも優秀な方が配属される部署になっていました。

 

DI業務における薬剤師の仕事内容!

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本項では、DI業務の具体的な仕事内容について、説明していきます。

①:医療従事者からの質問を回答する

患者さんからの質問を直接回答するのではなく、医療従事者からの専門的な質問に対して回答を行うのが、DI業務の主な仕事です。

病院では医師や看護師、同じ職場で働く薬剤師からも質問を受ける場合があります。

医師からは新薬の適応や妥当性、値段や適応外の効能まで、様々な質問を問われます。

看護師からは点滴速度、配合変化、飲み合わせや採用外の医薬品の質問が多いです。

これらの質問は病棟配属の薬剤師が答えるケースもあるのですが、今すぐ回答をする事が出来なかったり、より詳しいデータが必要な時には、病棟薬剤師がDI担当の薬剤師に相談をして、調べてもらう場合もあります。

DI業務は医療従事者が調べても答えが出ない質問に対しての最終扉ですし、薬剤師の中でも専門的で深い知識が必要です。

患者さんに対して説明する事は少ないので、専門用語もバリバリ使用しています!

②:医薬品による情報収集と提供

DIは、外の企業に対して医薬品情報の交換も行います。

DI室に良く製薬企業のMRが訪問をしている場面を目にしますが、MRは新製品の紹介をDI担当の薬剤師にします。

同時に採用薬に関する副作用の収集も、DI担当の薬剤師は行います。

また、新規採用薬だけではなく、既存の医薬品で市場に出ている薬に対しても、DI担当の薬剤師が、医師や現場の薬剤師から症例や副作用を収集します。

集めた情報を吟味して、製薬企業に積極的な情報のフィードバックを行っています。

③:新規採用薬のヒアリング

院内や企業において、薬事委員会や新規採用を検討する為の必要な書類を作成するのも、DI業務の1つです。

緊急性のある医薬品以外の新薬は、事前にDI担当の薬剤師がメーカーからヒアリングを行います。

私の勤めていた病院では週に1、2回、約2時間程度で新薬のヒアリングをしていました。

また、DI担当の薬剤師は一般的な製品情報だけでなく、現場で起こり得る問題を想定をして、メーカーに質問を行います。

例えば、適応の疾患で併用が予想される場合の注意点、他には類似薬との違いはどこがあるのかを明確にする必要があります。さらに、具体的な臨床試験のデータも確認します。

いち早く新薬の情報を把握出来る点もDI業務の特徴で、採用薬の必要データを集める重要な仕事を請け負っています。 

④:ドラッグインフォメーションの発行

病院内や企業内で共有する月刊誌を発行する仕事も、DI業務の一つです。

医薬品卸企業や調剤薬局でも実施していて、新薬情報の中でも特におさえておきたいポイントを、表や一覧に加工する仕事も行っています。

月刊誌は院内カルテから職員が見れるようになっていたり、印刷をして配布する企業など様々です。

他にもドラップインフォメーションの特集で、プレアボイドの事例紹介や、医療従事者に対しての臨床で活用出来る豆知識などを作成して提供しています。

⑤:ジェネリック医薬品の採用評価

ジェネリック医薬品採用に対する評価や、判断材料を吟味する事も、DI業務の1つです。

小さな調剤薬局では、経営者の独断や管理薬剤師の選択で、ジェネリックの切り替えを行っているケースが多いですが、病院や大手企業では、事前にDI担当の薬剤師が調査や比較をして、先発品からジェネリック医薬品へとスイッチする場合があります。

値引き率が最も良いジェネリックを採用するのではなく、適応が先発品と差異がないジェネリックであるのか、流通トラブルの心配はないか、先発品に比べて付加価値はどんなものがあるのかを、多くの後発品メーカーから取捨選択を行います。

⑥:情報システムのマスタ管理

採用した医薬品を、処方医が入力出来るように、電子カルテに紐付けを行う業務も行います。

また、滅多に出ない薬に対しては、処方の制限をかけるマスタ登録も、DI室の仕事です。

レジメン登録はがん専門薬剤師などのがん領域に精通している薬剤師が行うケースがありますが、DI室は登録を許可したり、制限を解除する大元のマスタを扱っていて、トラブルがないように機器のマスタ管理をしています。

⑦:緊急性の高い医療ニュースの発信

緊急安全性情報(イエローレター)や安全性速報(ブルーレター)をいち早く収集して、確認後に対処法を提示するのもDIの仕事です。

その他にも、医薬品の流通がストップする際に、代替薬を提案したり、比較的緊急性の高い情報を職場内に発信する事も行います。

職場のメールで一斉送信したりと、緊急を要する場面でも活躍する部署になっています。

サッカーで例えるなら、薬局内におけるトップ下の司令塔ポジションです。 

 

DI業務を行う代表的な職場は?

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本項では、DI業務を行う代表的な職場について、解説していきます。

①:大学病院

大学病院ではDI室を設置しており、DI担当と病棟業務を兼任している薬剤師が多いです。新人薬剤師は薬の知識量が少ないので、配属される事は基本的にありません。

3年目以降から任せられる場合があり、病院によっては主任クラスで薬剤師歴が10年選手くらいの優秀な方が存在するケースも珍しくありません。

大学病院以外にも国立の大病院や市民病院など、大型の急性期病院にはDI室が設立している場合が多いです。

また、給料については、DI担当に配属されたとしても、特別な手当てが支給される訳ではありません。

私の実習先の病院では15年勤務の男性薬剤師が行っていました。

②:製薬企業

学術担当で、自社製品の医薬品情報を扱う部署に配属される薬剤師が当てはまります。

医療関連の病院やクリニック、薬局からの電話を受け取る、コールセンターとしての勤務です。

具体的には、添付文書を見ても解決する事が出来ない疑問や、適応や保険関連の疑問に対して回答を行います。

他にも、製薬企業では臨床研修のデータを扱っていて、専門的で深い医薬品情報を伝えます。

大手企業が多いので、内資、外資問わず、殆どの製薬企業で学術担当、DI担当のポジションが存在しています。

現場のMRから質問を受け付ける事もありますよ!

③:大手調剤薬局

大手調剤薬局も、医薬品情報を扱う部署が存在しています。

コールセンターとして薬局現場で発生したトラブルを解決、回答をする仕事や、月刊誌としてドラッグインフォメーションの作成をしたり、各店舗から報告されるプレアボイドの整理、検査データの収集や、学会で活用する為のデータをまとめたりしています。

中規模の調剤薬局では独立したDI部署は多くありませんが、企業によっては、臨床現場とDI業務を兼任している薬剤師が一定数います。

しかし、小規模薬局や個人薬局でDI業務を取り組んでいる会社数は少ないです。

④:医薬品卸企業

市販後調査として、医薬品における販売後の効果や副作用の情報収集を行います。現場のMSと連携をして情報データを蓄積させてまとめる仕事になります。

学術の部署には社外問わずに医薬品に関する質問が届くので、しっかりと調べて正確な回答を行います。また、本社だけでなく、営業所にも薬剤師が配属されていて、MSは現場から集めた疑問を医薬品卸の薬剤師に質問して連携を取っています。

その他の業務として、薬効別の薬一覧を社内資料や勉強会用に作成したり、新薬に関する月刊誌作成の仕事も行います。

 

DI業務を行うために必要な経験やスキルは?

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DI業務を行うのに、必要なスキルについて、本項では解説していきます。

①:情報をわかりやすく加工する能力

薬剤師であれば患者さんに対して、かみ砕いた服薬指導を行います。

しかし、医療従事者に医薬品情報を伝えるDI担当の薬剤師は、情報の加工を行った状態で、わかりやすく、時に専門知識を入れて、説明を行うスキルが必要です。

DI業務の相手は、臨床経験がある医師や看護師、薬剤師がメインです。相手がどの程度臨床に詳しいのかを加味して、専門用語をあえて使用するケースも出てきます。

「わかりやすく」という言葉は、相手に合わせつつ、プラスアルファの踏み込んだ説明をするという意味になります!

②:マルチタスク能力

DI業務はその都度、確認して終わらせる仕事と、確認や納期が月単位、プロジェクトによっては年単位で行う、終わりが見えにくい仕事の両方を抱えている事が殆どです。

他にも病棟業務の掛け持ちなど、複数同時に仕事を行いますので、マルチタスク能力が必須になっていきます。

問い合わせが一斉に来る場合もありますし、複数処理を苦手に感じる男性には分が悪いかもしれません。

③:円滑なコミュニケーションスキル

医薬品情報の場面では、対面で回答する以外に、電話1つで物事を伝える場面に遭遇します。

しかも、相手は日頃から接している方ではないため、初対面でも失礼のないように、情報提供を行わなければいけません。

「質問者が何を求めているのか?」、「スムーズに解決をする為にはどう処理をするべきか」と、相手の真理を読まなければ、DI業務は滞ってしまいます。

高いヒアリング能力を備え、コミュニケーションスキルを持って業務に当たる必要があります。

④:実臨床の経験

DI業務を行うに当たり医療現場で扱う専門用語や医療機器、検査値など薬以外の知識を理解していなければ、スムースな問題解決を行う事が出来ません。

そのため、私の前職の病院では、ある程度の臨床経験を積んだ薬剤師がDI室に配属される事が多かったです。

病院以外でも新卒からいきなりDI業務を担当するのは珍しいですし、実臨床を学んでからのDI業務は薬剤師としての成長にも繋がります。

患者さんと接してから、医療従事者を相手をする仕事へとシフトして行く方が覚えも速いです。

 

DI業務を行う際の注意点は?

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DI業務を行う際に、気を付けてもらいたいことについて、本項では説明していきます。

どれも重要な事項なので、しっかりと読んで頂ければ幸いです。

①:誤った情報を提供しない

最も大切な注意事項です。医療において、嘘やデマは決して許されない悪徳行為です。

現場のDI担当薬剤師は、誤った情報を伝えないように努めていますが、情報を正しい方法で精査をして、曖昧な回答をしない事が大切です。

質問によっては答えがないケースもありますが、「多分」や「誤解を与える伝え方」をしてはいけません。

DIは薬局の中でも中核的なポジションです。責任感を肌で感じる大変な仕事になります。

②:1人で抱え込まないようにする事

DI業務に従事している薬剤師の絶対数は、多くはなく、企業によっては数人で回しているので、1人当たりの業務量が多くなりがちです。

そのため、個人でずっとドラッグインフォメーションの記事を作成している方や、締め切りがある仕事を抱えている方も多いです。

私の前職の病院では4名程度のDI担当が居ましたが、いつも何かに追われながら家に仕事を持ち帰る事が多かったです。

一人で出来る業務には限界があるため、積極的にSOSを挙げて周りから助けてもらう事も意識したいですね! 

 

DI業務に携わりたい薬剤師が利用するべき転職サイト!

DI業務を行いたい薬剤師におすすめの転職サイトについて、本項では説明していきます!

①:マイナビ薬剤師

マイナビ薬剤師は、多様なキャリアを支援する、薬剤師向けの大手転職エージェントです。

プロのコンサルタントが、「ずっと働き続ける職場探し」を丁寧にフォローしてくれます。

DI業務に理解があるコンサルタントは多くありませんが、長い間蓄積されたデータを持つマイナビ薬剤師では、病院薬剤師の働き方やDI業務を扱う企業についての理解が早く、スムーズな転職が期待出来ます。

マイナビ薬剤師の詳細については、以下の記事を合わせて参考にして下さい!

個人的に利用後の満足感が高かった紹介会社です。

②:薬キャリ

薬キャリは、求人数を最も多く揃えているエージェントであり、薬剤師からの認知度も高い実績ある紹介会社になります。

利用者の希望を抽出する力と、スピード感ある求人紹介を強みにしている企業で、最短で転職に踏み切る事が可能です。

病院の求人数も他のエージェントよりも多く扱っているので、DI業務で実臨床も加えて学びたい薬剤師には向いています。

薬キャリの評判については、以下の記事でもまとめているため、そちらも合わせて参考にして下さい!

③:ファルマスタッフ

コンサルタントとの現場同行型の見学が特徴の、転職エージェントになります。

大手チェーンの日本調剤が運営しているので、調剤薬局の求人が多く、病院とのコネクトも強いです。また、DI業務を探している薬剤師にとってはマッチした紹介会社になります。

ファルマスタッフの詳しい評判については、以下の記事を参考にして頂ければ幸いです!

何度でも同行見学をしてくれますし、自身が納得した職場を探す事が出来る人気のエージェントです。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?

DI業務は医療従事者を相手にする分、専門的な知識と用語も必要になる働き方ですし、薬剤師としても勉強になる、やりがいのある仕事です。

本記事を読んで、少しでも薬剤師のDI業務に関して、理解が深まれば嬉しく思います。

それでは、また!

 

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参考サイト

本エントリーを記載するにあたり、以下のサイトを参考にさせて頂きました。

日本病院薬剤師会 「医薬品情報業務の進め方2018」|JSHP