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在宅医療における薬剤師の9個の役割について!現役薬剤師が語る!

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今回は在宅医療における薬剤師の役割について、熱く語っていきます!

在宅医療の概要や、料金についても説明していきますので、薬剤師の在宅医療に興味がある方は、ぜひ参考にして頂ければ幸いです!

 以下、目次となります。 

目次

 

薬剤師の在宅医療とは?

薬剤師が実際に患者さんの自宅であったり、介護施設に赴いて、薬の説明から管理方法など適切な医療を提供するサービスを指します。

患者さんの足が不自由であったり、寝たきりの状態である場合は、病院に通院する事や、薬局に薬を受け取る事自体が、困難になるため、在宅での医療サービスを受ける方が一定数存在しています。

薬剤師は患者さんが生活をしている場所に薬を届ける役割だけでなく、患者さんに適したサポートを行ったり、御家族のフォローも行う役割も担っています。

また、医師、看護師、ケアマネージャー、ホープヘルパーとの連携も重要になる仕事になりますし、フィジカルアセスメントや中心静脈栄養、緩和ケアなど幅広い知識と経験が必要になる薬剤師の仕事の1つになります。

今後は、人口の2人に1人が高齢者になる時代が到来すると言われています。

マンパワーの面からも大変な仕事になる事は変わりませんが、特に薬剤師が行う事が出来る残薬調整に関しては、医療費削減の期待もされていて、社会的にもやりがいある仕事と言えます。

内向的であった薬剤師も、チーム医療の一員として、薬局内を飛び出して日々奮闘しています。

 

薬剤師の在宅医療にかかる料金は?

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  単一建物診療患者が1人 単一建物診療患者が2~9人 単一建物診療患者が10人以上
介護保険 507円 376円 344円
医療保険 650円 320円 290円

上記では、自己負担額が1割の方を仮定して表を作成しました。

利用者が介護認定(要支援1・2、要介護1~5)されている場合は「介護保険」として対象になり、認定されていない場合は「医療保険」として料金が発生する仕組みになっています。

こちらの料金表は1回の利用にかかる金額になっていますが、加えて薬代がプラスされます。

単一建物診療患者とは、個人の家であったり、施設などで在宅にサービスを受けている人数の事を指します。

また、同じ建物内に住んでいる人数によっても料金が変化するので、自宅で独居の方であれば、単一建物診療患者が1人になり、1つの介護施設で5人が在宅サービスを利用している場合は、単一建物診療患者が2~9人の区分に分類されて、料金が異なります。

また「交通費」に関しても別途で発生する場合があります。契約書に規定されていたり、エリアや距離に応じて料金が異なりますので、追加の料金発生に注意しましょう。

 

薬剤師の在宅医療はどうやって頼むの?

在宅医療開始までの簡単な流れは、以下の図のようになります。

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まずは利用者本人が、在宅医療に対しての対象者であるかどうか、確認を行う必要があります。

在宅医療の対象者は、以下の3つの方が主な対象者になります。

  • 歩行困難や認知機能の低下など介護が必要であり、通院や来局が困難な方
  • 自宅で薬の使用方法や管理が上手く出来ない方
  • かかりつけ医に薬剤師訪問サービスが必要であると判断された方

現場では主に独居で介護が必要な方であったり、寝たきりや認知症などで、運動機能や薬の管理が上手く出来ない方の利用が多いです。

中にはがん末期により最後は自宅で過ごしていたい方であったり、医師が自宅往診を行い、医師から薬剤師に在宅での薬の管理やフォローを任せられるケースもあります。

薬局では医師から依頼を受けて、在宅訪問が開始するケースが多く、利用者は、かかりつけのクリニックに相談したり、介護施設に話を行う事で依頼がスタートします。

かかりつけ医に相談しづらいようであれば、地域包括支援センター、薬局の薬剤師や、ケアマネージャーに相談を行い、医師に相談を行う事も出来ますので、最初は自身が在宅医療の対象者であるかどうかを知る為にも、利用者とその家族の方は周りの医療機関に相談する事を推奨します。

 

在宅医療の際に薬剤師が行う役割は?

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本項では、実際に薬剤師が在宅医療で担う役割や業務について、具体的に説明していきます!

仕事の流れも理解できるため、在宅医療に興味のある薬剤師は、ぜひ一読下さい!

①:処方箋に基づいた調剤と監査

在宅医療に携わる薬剤師は医師から処方された処方箋に基づいて、調剤と監査の仕事を行います。

医師から発行された処方箋なしに、薬剤師が勝手に調剤を行って、患者さんに薬を受け渡す事は出来ません。

調剤と監査は在宅専門の薬剤師でなくても、行う事が出来る仕事になりますが、薬局によっては在宅に特化している店舗もあり、1日中薬局内で、人と接触しないで調剤や監査に没頭する職場もあります。

施設の調剤を行う際には1包化と呼ばれる調剤の工夫をする事が多く、調剤する薬の数であったり、人数が比較的多いので、調剤する時間も通常よりもかかります。

更に分包機を導入している薬局では、データ入力と機械操作で時間をかけずに調剤を行う事が出来ますが、手分包と呼ばれる1つ1つ薬をセットして調剤する方法で1包化を行うと、より時間がかかってしまうなど、薬局の施設環境によっても調剤の違いが出てきます。

在宅医療の薬剤師は、処方箋に基づいた調剤や監査を行いますが、実際に調剤する時には、優先順位を考慮したり、隙間時間を見つけて奮闘している方が多いです。

その他として、錠剤などの内服薬を調剤するだけでなく、中心静脈栄養で使用する輸液をクリーンベンチ内で調剤する事もあります。

薬剤師が滅菌ガウンに着替えてシリンジ操作を行い、患者さんに不足している栄養製剤を混注します。在宅の薬剤師は、シリンジを用いる調剤業務も行う方がいるので、一般的な薬剤師と比べると調剤スキルも勝っている特徴があります。

②:薬の配達

患者さんが薬局に赴いて薬を渡すのではなく、薬剤師が薬局で薬を調剤してから、在宅又は、施設まで薬を届けます。

足が不自由で薬局まで来れない利用者であったり、寝たきりで外に出たくても出れない方にとって薬の配達は、なくてなならないサービスの1つです。

配達方法としては、薬局の社用車を使用して、中休みに薬を届けている薬剤師や、お届け先が近場であると、自転車を使用して薬を届けている薬剤師もいます。

マンパワーに恵まれている職場であると、シフトによって午前中に薬の配達を行い、午後から薬局内で仕事を行っている薬剤師もいます。

届けている最中にも注意が必要で、適切な状態で管理をしながら届ける事が出来ているのかを考える必要があります。

例えば、冷所保存が必須で、暑い時期や車の中での保管方法は適切なのか、特定の鎮静剤は、厳格な管理方法で保管しなければいけませんし、紛失は絶対にしてはいけません。

また、なるべく早く、安全に患者さんの元に届ける必要がありますし、配達後も保管方法を適切に利用者に伝えなければいけません。

ただ単に薬を届けているのではなく、薬の特性を理解して適切な効果が発揮出来る様に在宅の薬剤師は考えています。

薬局で患者さんを待つのでなく、薬の保管方法も意識しながらドライバーの様に外に出て働く事が特徴の1つです。

③:服薬指導 

調剤した薬を配達した後は、患者さんの自宅で服薬指導を行います。

初めて利用者の自宅にお邪魔する場合は、失礼がない様に自己紹介とあいさつを必ず行います。また、薬についての説明をしっかりと行います。

事前にケアマネージャーや医師から直接PS(全身状態)であったり、在宅医療を開始する理由を聞いておけば、服薬指導もスムーズに行う事が出来ますが、処方箋などの情報だけで、服薬指導を行う場合もあるので、薬剤師から一方的な説明だけでなく、利用者である患者さんの考えや疑問にも、耳を傾けながら指導を行わなければいけません。

利用者は高齢の方だけでなく、子供の場合もあるので、両親も加わりながら薬の説明を行うケースもあります。また、在宅で薬を保管するので、保管方法や注意点の説明も大切です。

他にも、飲み忘れた場合の対処法であったり、初めて服用する薬に関しては、どのタイミングで、どんな副作用が起こり得るのかも、状況別に説明する必要あります。

在宅医療における薬剤師の服薬指導は、利用者のアドヒアランス向上に繋がるため、臨床的で医療を実感出来る仕事になります。 

④:残薬調整 

患者さんがきちんと用法用量を守り、薬を内服していれば、在宅に残薬が余っている事はありません。

在宅医療での薬剤師の役割は、残薬を調節する事が1つです。例えば、複数のクリニックから薬が出ていて、効果が重複している薬を在宅の薬剤師は発見する事が出来ます。

効能効果や処方意図、本当にこの患者さんに必要なのかを考えてから、片方の薬を減らしてもらう様に処方元の医師に削除依頼を行います。

患者さんの飲み忘れが多く、薬が余っている状況では、次回に処方日数を減らしてもらう様に医師に依頼する事も大切です。

こうした残薬の調整に関しては、医療費削減の貢献と薬剤師全体の実績になるので、見えにくいですが大切な仕事の1つです。

特に、糖尿病の患者さんの中で、薬を飲まなくても、身体に変化が見えにくく、効果を実感しにくい薬である場合は、在宅で残薬になりやすいケースが多く、数ヵ月分丸っと薬を残してしまうケースもあります。

しっかりと服用出来る様な体制作りと、指導が必要ですが、余ってしまった薬に関しては担当医、ケアマネージャーに報告、共有して、次回訪問時に解決出来る様にするのも在宅における薬剤師の重要な役割の1つになります。

⑤:ヘルスアセスメント 

よく勘違いしてしまう内容として、薬剤師がバイタルチェックを行い、疾患を評価、診断をするミニドクターになってしまう方がいます。

ミニドクター化しない様に、在宅医療における薬剤師の役割を意識する事を忘れない様にしましょう。

在宅の現場では、薬剤師も血圧計や聴診器、血糖測定器などを使用して、患者さんのバイタルの確認を行う場面もありますが、あくまでも薬の変更時に対しての効果判定であったり、副作用のモニタリングをフォローする事を念頭に考える必要があります。

フィジカルアセスメントと書かないで、ヘルスケアアセスメントと書いたのは、身体的だけでなく、精神的にも社会的にもフォローする場面が在宅医療にはあり、薬剤師が勝手に確定診断を行わずに、他医療従事者と意見を交換しながら、ヘルスケアの評価に寄与しなければならないからです。

医師を中心に治療方針をチームで確認し合い、身体的な評価を行うのか、それとも本人の精神的、社会的なフォローやアセスメントを行うのかを考える必要があるので、難しくやりがいのある仕事の1つになります。

薬を見るのではなく、患者さんを見る事は在宅医療において意識するポイントです。 

⑥:他職種との情報共有 

薬局薬剤師やドラッグストアに勤務する薬剤師も、病院薬剤師の様に他職種と「チーム医療」を実践する役割があります。

在宅医療を行う際には、医師への報連相、看護師から患者さんの細かな挙動や不安などを教えてもらったり、ケアマネージャーから治療のプランを確認を行うなど、患者さんを中心に医療従事者同士で患者情報を共有する必要があります。

在宅を担う薬剤師にとって、他職種との連携は基本で、やりがいの1つでもあります。

特にホームヘルパーさんには、患者さんの嚥下機能の変化や、認知機能の確認、生活リズムや、御家族の不安などを聞き出せると、薬に対する提案や気付きも増えていきます。

他職種とは、あえて同じ時間帯に訪問を行うなど、接点を自ら作り、コミュニケーションを取れる工夫もする事は重要で、事前に話しやすい雰囲気を作っておくのも1つです。

他職種と情報交換を行う事で、在宅医療の利用者に、質の高い医療を提供する事が出来る様になりますし、コミュニケーション能力も試される在宅薬剤師の役割の1つです。 

⑦:処方提案

併用している薬同士が禁忌の内容であったり、在宅の患者さんに適した剤形を提案出来る場合には、積極的に処方医に対して処方変更を依頼する事も在宅医療における薬剤師の役割になります。

特に、在宅の薬剤師は「飲みやすさ」を重視した内容で、医療に貢献出来る場面が多いです。例えば、嚥下が困難である患者さんに対して、錠剤のサイズが大きい薬を医師が処方するケースがあります。

薬剤師は、同じ効果のある薬で錠剤のサイズがより小さかったり、口の中に入れると水無しで飲む事が出来る薬を提案する事が可能です。

他にも、飲み込む機能が全く出来ない方に対しては、飲み薬でなくて、貼り薬や坐薬へと剤形を変更提案をする事が出来ます。

処方医が薬を決めても、薬剤師は多くの剤形を把握して、提案出来る様にしなければいけません。

医師がうっかりミスをして、処方の間違いを見つけ、訂正する事も大切ですが、在宅医療ではチームで患者さんの事を考え、最適な医療を提供出来る様に、積極的な処方提案を行っています。

⑧:服用後のフォロー

薬を在宅に配達をして、説明するだけでは在宅医療としての仕事を行ったとは言えません。

訪問した時だけではなく、その後の薬の管理状態や、副作用モニタリング、薬効評価、他の医療従事者に伝えるべき事を記録しておく必要があります。

その他にも、在宅に薬剤師がいない時に連絡を取れる様に手続きを行う必要があります。

患者さんの中には緊急で使用する鎮痛剤の使い方であったり、使用し忘れた時の対応、薬同士の飲み合わせを訪問当日ではなく、訪問後に聞きたい事が出てくる事があります。

特に、初回訪問時には、薬の事で何か分からない事があれば、電話番号などを伝える必要があります。

また、利用者本人だけでなく、御家族や介護者の方にも連絡を取れる様にしておくと質の高い医療を提供する事が出来ます!

薬剤師が服用後のフォローを行う時には、患者さんを見るだけでなく、キーパーソンにも話を聞ける様にしておきましょう。

⑨:薬の管理方法や使用方法の補助 

薬の管理方法に対して介入出来る点は、在宅で仕事を行う薬剤師の役割の1つです。

例えば、認知機能が低下している方は自身で薬を管理する事が難しく、決められた時間やタイミングに毎日薬を飲む事が出来ない場合があります。

薬剤師として薬を正しいタイミングで、飲んでもらう為に補助器具の提案や飲み忘れを防ぐ為の工夫をして、在宅医療の仕事を行います。

いつも薬を飲み忘れてしまう方には「服用カレンダー」と呼ばれる、壁掛けに薬がセット出来るカレンダーを薬局で作成して、用法毎にセットしてから薬を渡す事もあります。

似た道具に「ピルケース」の工夫もあります。

用法毎に色分けをして強調させたりと、視覚的に補助をして、薬の管理を利用者と一緒に考えます。

喘息に使用する吸入器を補助する道具や、点眼剤が上手く使用出来ない方に対しての補助器具を紹介する事も薬剤師の大切な役割です。

患者さんには意外と知られていない道具も多くありますし、薬剤師ならではの、服用コンプライアンスを向上させる事が出来る重要な仕事と言えるでしょう。 

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?

在宅医療における薬剤師の役割は、チームで医療を提供する事と、対人業務として、患者さんやキーパーソンを見る事であると理解出来たはずです。

今までは、薬局内に引きこもりがちな薬剤師が、外に出る事によって、働き方にも幅が広がり、他職種や患者さん本人からも感謝される機会が増えると記事を書いて感じる事が出来ました。

今後は在宅医療は需要が高まってきますし、携わる薬剤師も増加していくはずです。

特に残薬調整は、無駄な医療費を減らす事が出来る薬剤師の大切な役割として注目されています。

在宅を利用する方も、仕事で関わる薬剤師の方も今回の記事を見て、何か感じて頂けれは幸いです。

それでは、また!

 

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