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かかりつけ薬剤師って何?必要な要件について現役薬剤師が解説!

はい、キクオです!

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今回はかかりつけ薬剤師について、その制度の概要や、かかりつけ薬剤師になる為の必要な要件について、詳細に記載していきます。

まだ発足して間もない制度ですが、薬剤師の方は、私と同様に気になっている方が多いのではないでしょうか。

以下、目次となります。

 

では、いってみましょう! 

かかりつけ薬剤師とは?現役薬剤師が解説

かかりつけ薬剤師とは、現在服用している薬や健康食品、サプリメントの服薬状況や飲み合わせを確認して、重複している作用がないか、飲み合わせによる副作用がないかを、1つの薬局の1人の薬剤師が把握して継続的にチェックする薬剤師を指します。

簡単に言えば、かかりつけ医の薬剤に特化したバージョンで、薬についての些細な問い合わせや、自宅における服薬状況の管理など、薬に関する事なら何でも相談出来、健康についての相談も可能な薬剤師の事です。

かかりつけ薬剤師は、地域に密着して患者さんから信頼を得ている、指名制の専属薬剤師となります。

かかりつけ薬剤師が発足された理由としては、国の指針が大きく関与しています。毎年増え続ける医療費、集約化されない薬局、質の低い薬剤師の存在など、数多くの理由が、その背景にあります。

本制度が発足された大きな契機として、2016年度の診療報酬改定が挙げられます。医薬分業*1率が年々上昇している中、全国では約7割の分業率が進んでいると、国が集計結果を発表しました。

そのため、全国に薬局は次々と店舗展開や新規開業を行い、現在ではコンビニよりも多い店舗数になっています。その数は、約6万店舗にのぼります。

自然に処方箋枚数が増えていき、薬剤科、調剤科といった医療費が年々上がっている状況を鑑みて、医療費の効率的な活用及び、 乱立している調剤薬局を適正化するべく、国が是正を行う方向で動き始めます。その中で、調剤報酬の削減も重要であると指摘されるようになりました。

そのような状況の中、期待されているのが「かかりつけ薬剤師」です。

国は乱立した薬局を出来れば大きな一つ形に集約したい、かかりつけ薬剤師が質の高い医療を提供することで、患者様の薬の事を一元化、重複投与を防止して、医療費を削減することを期待して、2025年までにはすべての薬局を「かかりつけ薬局」、つまり、かかりつけ薬剤師を常在させた薬局にする様に、動き始めています。

厚生労働省「患者のための薬局ビジョン」によれば、バラバラであった薬局を集約化すること、今までが対物業務であった薬剤師を対人業務へ重視する考えへとシフトチェンジしている事が分かります。

かかりつけ薬剤師制度が始まる前でも質の高い医療を提供している薬局、薬剤師はいましたが、中には医師の処方箋に疑義があってもそのまま調剤を行ってしまったり、他の医療機関から出ている処方箋と重複していても、そのまま調剤してしまう薬剤師もいます。国家資格を盾にぬくぬくとした環境で働いていた薬剤師は、今、国からその質を問われています。

かかりつけ薬剤師は、私たち薬剤師に医療資源の有効活用の必要性や医療費削減、薬局の在り方を見直すために出来た制度になります。

 

かかりつけ薬剤師になるために必要な要件とは 

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かかりつけ薬剤師になるには、以下3つの要件を満たさなければなりません。 

  • 薬局勤務3年以上、週32時間以上勤務、6カ月以上在籍している。
  • 認定薬剤師の資格取得している。
  • 医療にかかわる地域活動の取り組みに参画している。

それぞれの注意点について、以下見出しにて説明していきます。 

 

要件①:薬局勤務3年以上、週32時間以上勤務、6カ月以上在籍している

1つ目の要件は薬局内での経験がどれだけ積んでいるかが基準になってきます。転勤のない正社員やアルバイト・パート薬局薬剤師であれば、比較的に容易に満たせる要件です。しかし、病院薬剤師から調剤薬局へ転職する方は注意が必要です。

どんなに病院で働いていても、薬局勤務経験は1年間のみと数えられます。例を挙げますと、10年間病院の薬局で勤務していて調剤薬局に転職したとしても、その人は薬局経験が1年としてカウントされます。

そのため、病院でいくら経験を積んだとしても、転職して2年以上勤めないとかかりつけ薬剤師の要件を満たせないので注意して下さい。また、勤務時間や期間は間をあけない事が重要です。

退職、転職した場合には在籍期間がリセットされるので、6ヶ月以上在籍している要件が満たせなくなるので注意して下さい。

かかりつけ薬剤師は、地域で働くママ薬剤師にも大きな期待があります。育児休暇を取得している期間は、かかりつけ薬剤師の要件である週32時間以上勤務、在籍の薬局勤務経験期間として数えられないので、育児休暇が終わった後、3年以上の薬局経験と6ヶ月以上の在籍期間が必要となります。

個人的には地元に根差した薬局であれば、比較的容易にクリアできる要件だと思います。大手調剤薬局の全国勤務の薬剤師では難しいかもしれませんが、大手でも特定のエリアで働く薬剤師の方は、同様に要件を満たしやすいはずです。

個人的には病院から調剤薬局に転職しても薬局経験数が1年とみなされる点は、やや疑問が残ります。保険薬局薬剤師として経験が短いため、このように定められていると思いますが、病院薬剤師には不利な制度だと感じました。

 

要件②:認定薬剤師の資格取得している 

かかりつけ薬剤師の要件の一つとして、認定薬剤師の資格を取得している必要があります。現在、4人に1人の薬剤師は、何かしらの認定薬剤師の資格を持っていると言われています。以下、認定薬剤師の取得方法や難易度を説明していきます。

最もメジャーな認定薬剤師は、日本薬剤師研修センターにおける認定薬剤師です。

薬剤師であれば、緑色の薬剤師研修手帳を一度は見たことがあるかと思います。初めて認定を受けようとする場合は、4年以内に40単位を取得することが必要となり、単位は薬剤師会が開いている勉強会や、インターネット上で受講してもらう事が可能です。

早い人なら1年で40単位を取得するとこが出来るため、早めに認定薬剤師を取得したい方に向いた制度となります。

日本薬剤師研修センターの認定薬剤師でなくても、薬剤師認定制度認証機構で認められた認定薬剤師であれば、かかりつけ薬剤師の要件を満たすことが出来ます。

プライマリケアに特化した認定薬剤師や、漢方薬に強い認定薬剤師などが複数ありますが、受講形式や取得するための費用はそれぞれで異なるので、より詳細については、薬剤師認定制度認証機構のHPを参照して下さい。

勉強会や学会へ出かけて単位をとったり、動画配信のドリルで単位を取得するなど、業務の合間を縫って、勉強を進めることをおすすめします。

また、中には症例を提出する機構もありますので、充分に調べてから目指した方がいいでしょう。難易度は認定薬剤師の上級職となる、専門薬剤師*2に比べると比較的容易です。

最近では、受講動画を視聴せず、ただ流し続ける不正を行ったり、更には、その行為を代行で行う業者も出ている模様です。それらを防止するために、ドリルタイプのe-ラーニングの認定制度に変更されと、近い将来では認定薬剤師を取得するのに、少しハードルが高くなるのではないかと予想されます。

また、一度認定薬剤師になると、資格を更新する必要があるため、注意して下さい。 

 

要件③:医療にかかわる地域活動の取り組みに参画している 

医療にかかわる、地域活動の取り組みに参画していることも、かかりつけ薬剤師の要件の一つとなります。 

この文言だけだと、地域活動の基準や、取り組み内容がどういったものなのか、どんな薬剤師も分からないと思います。とても抽象的に表現されていますので厚生労働省が出した文章を引用してわかりやすくしました。

1. 地域ケア会議への参加

地域で多職種が連携し、定期的に継続して行われている医療への参加している事。また、地域包括ケアにおける、多職種会議や介護に関する会議への主体的・継続的な参加が要件となります。

2. 地域の行政機関や医療団体等の研修会への参加

地域の行政機関や、医療・介護関係団体等(都道府県や、郡市町村の医師会、歯科医師会及び、薬剤師会並びに地域住民に対して研修会等サービスを提供している、その他の団体等)が主催する住民への研修会等への主体的・継続的な参加をしている事が要件となります。

地域の住民向けに健康フェアを実施して、健康ブースを開いたり、子供に1日薬剤師体験をさせたり、市民講演で演者として活動すること等も要件に該当します。

3. 行政機関や学校等の依頼に基づく、医療に係る地域活動への参加

薬と健康の週間、薬物乱用防止活動、注射針の回収など、医療に係る地域活動への主体的・継続的な参画をしていることが、要件となります。薬局内でのポスター掲示や、啓発資材の設置のみでは要件が満たされない為、注意してください。

ポイントは、行政からの依頼や、薬剤師会の取り組みとしての注射針の回収に関しては問題ありませんが、依頼がないにも関わらず、自主的に回収を行う行為に関しては、要件を満たさない可能性があります。

4. 休日夜間薬局としての対応、休日夜間診療所への派遣を行っている。

行政機関や地域医師会、歯科医師会、薬剤師会の協力のもとで実施している休日夜間薬局としての対応を実施する事及び、休日夜間診療所への派遣を行っている事も要件となります。薬剤師会に所属していないと厳しい要件になるため、注意が必要です。

5. 委嘱を受けて行う学校薬剤師の業務

委嘱を受けて行う、学校薬剤師の業務も要件の一つとなります。しかし、本要件も自主的に行うものではなく、行政からの要望が必要です。薬物乱用の講演を演者として活動を行った、プールにおける衛生点検を行ったなど、具体的に学校薬剤師として何を実施したかを明確にしておくと、より良いです。

重要な点は、活動自体が行政や薬剤師会が主催する地域住民に対するものであるかどうかです。また、活動に対して、薬剤師がどのような形で関わったか明確にしておくことが大切です。自分の住んでいる県で、地域の活動として何を行っているか把握しておく事をおすすめします。

薬剤師会に入っていない薬局では少しハードルが高いかもしれません。また、メーカー主体の勉強会や薬剤師会の勉強会に参加しただけでは、要件として認められないので、注意してください。

 

かかりつけ薬剤師のメリットについて

1. 地域の専属薬剤師として活躍できる

特に地方など限られたエリアで、薬や健康のエキスパートとして活躍することが出来ます。かかりつけ医には聞きにくかった事の、不安や疑問を手助けすることが出来ますし、患者様が困った時に、あの薬剤師さんに聞いて安心しましたと、感謝されることが増えます。

重複投与を防いで医療費を抑えたり、副作用を未然に防ぐことで薬剤師としてスキルも上がりますし、社会的にも活躍、貢献出来ます。時には患者様の身の丈話をして、精神的な不安を取り除くのも良いかもしれません。

今後活動を続けて行けば、薬剤師の社会的地位の向上にも貢献できます。

2. 収入が増える

企業によっては、かかりつけ薬剤師になり一定の件数を取ることで、収入が増えます。経営面からみても、かかりつけ薬剤師指導料として、かかりつけの薬剤師が処方せん受付1回につき70点の報酬があるので、地域に根差している薬局で多くの患者から信頼を得ている薬剤師は非常に価値があります。

個人薬局で、かかりつけ薬剤師本人が経営者の場合は、かかりつけの患者様が増えるほど、自分の利益が増えるため、メリットが大きいです。

3. 地域の住民と交流が広がる

かかりつけ薬剤師になる要件の中には、地域と関りを持つことが必須になるため、薬局以外での付き合い、交流機会の回数が増えます。例えば、健康フェアでは薬局に足を運んだことがない人と会話する機会があり、親しくなれば、地元の穴場飲食店なども知ることが出来るかもしれません。

交友関係の輪が広がり、素敵な出会いがあるかも知れません。かかりつけ薬剤師になることで、閉鎖的な薬局も地元から一目置かれる存在になると思います。

4. 医療人としての幅が広がる

薬のことはもちろん、疾患や健康、更にはサプリメントなどについても、広く質問される機会が増えます。そのため薬だけでなく、幅広い知識を吸収して、患者様に伝えないといけません。

薬だけを知っている薬剤師ではなく、多角的な視点を持つ質の高い薬剤師が必要とされています。医療全般に強みが増えて医療人として厚みが増すことは、かかりつけ薬剤師のメリットです。

 

かかりつけ薬剤師のデメリットについて

1. 夜間、休日問わず対応しなければならない

夜間、休日問わず、患者さんから要望があった場合には、すぐに電話対応をしたり在宅まで駆けつけます。かかりつけになってくれた患者さんには勤務表を渡すこと、電話番号を伝えて、いつでもどこでも対応できるようにする事が、かかりつけ薬剤師の職務です。

患者数によるかもしれませんが、実際に電話がかかってくる頻度は少ないものの、夜中の3時に電話かかってきて対応したという話も聞いたことがあります。

薬剤師の仕事を考えた時に、この対応方法は非常にデメリットだと感じています。受け持つ患者数が多すぎる場合、対応するリスクが増えるため、慎重に考えることをおすすめします。

2. 高い質を求められ、責任が増える

かかりつけ薬剤師になったら、対応する患者様の全ての医療機関の処方情報を把握していなければいけません。突然の電話対応の時には、薬の相互作用などを症状がみれない状況で、臨機応変に対応する必要があります。

最悪のケースを想定しますと、薬によってアレルギー症状が出ている患者さんからの相談で、薬剤師が誤った指示をしたことで、手遅れになってしまう可能性も今後出てくると思います。質の高い知識と、的確な判断を求められるため、自身に厳しく常に勉強する姿勢が必要になります。

 

まとめ

ここまで読んで頂き、ありがとうございました。

今後薬剤師には当たり前になってくるかかりつけ薬剤師という制度について、詳細に記載しました。現場では既に国から言われる前から行っている企業や薬局もあり、今更かという意見や、薬剤師が24時間対応なんてナンセンス、自分の時間がなくなってしまうという意見、これで薬剤師の地位向上に一歩近づいているという前向きな意見など様々です。

個人的には残業を減らそうとしている国の流れの中で、薬剤師が24時間対応にするという事は、やや時代に逆行している様に感じています。しかし、まだかかりつけ薬剤師制度については、発足して間もないので、今後様々な改良が加えられ、より現場にマッチした制度に変わっていくと思います。

本記事が、薬剤師の皆さんの参考になれば幸いです!

 

参考エントリー

本記事を書くにあたり、参考にさせて頂いたエントリーはこちらとなります。

かかりつけ薬剤師・健康サポート薬局PRサイト | 日本薬剤師会

解説!かかりつけ薬剤師|日本調剤

 

他、薬剤師の仕事関連エントリーはこちら!

 

キクオ 

*1:医薬分業:薬の処方と調剤を分離し、それぞれを医師、薬剤師という専門家が分担して行うことを指します。それぞれの専門性を発揮することで、患者様には安全性を担保出来るメリットや、より良い医療を提供する事が出来ます。

*2:専門薬剤師:各専門領域の医学や医療の知識、薬物治療の高度な知識と技能を持っている薬のエキスパートのこと。基本的に認定薬剤師であることが要件の1つです。